Yuta ページ20
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「雨。降ってもーた。」
撮影終わり。俺が帰るのを待っていたかのように降り出した雨。
徐々に激しさを増していく。
傘を家に忘れてきたと今になって思い出す。
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「Aが悪いんやん!」
『は?意味わかんない。もういい。』
今朝、彼女と喧嘩した。
一方的に自分の言いたいことだけ言ってさっさと家を出てきた。
いつもならAに電話して届けてもらってたけど、電話なんて掛けれるはずない。
しょうがない。コンビニでビニール傘でも買うか。なんて思ってたら
マネ「中務さん。傘、届いてますよ。」
そう言って、差し出された傘。俺の傘。
きっとAが届けてくれたんだろう。
「あ、ありがとうございます」
マネージャーさんから傘を受け取る。
まだ数回しか使ってない傘。
よく壊すからってAが丈夫いやつ選んでくれたんやったな。
私と色違い♪ってA嬉しそうやったな。
そんなこと考えながら傘を眺めていたら
「ん、なんやこれ」
1枚の紙が挟まっていた。
抜き出して読んでみると
"ばか裕太。早く帰ってこい。"
はっきり濃く綺麗な字でそう書かれていた。
ごめんな。早く帰るから待っててな。
傘を差し急ぐ帰り道。
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作者名:ピコ | 作成日時:2017年2月13日 7時