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「ねぇ、やっぱやめようよ」
「何だよ、言い出しっぺが根性ないなぁ」
「今更後戻りとか出来ないだろ」
「そーだよ、俺後悔したまま死ぬのとかやだー」
「…まぁ、どうせ一週間の命だしな」
俺らの向かっている先は学校のコンピューター室。
伊野尾くんがさらっと、技術の先生のポケットから鍵を盗んだときは、
流石の俺らも背筋に電流が走ったようだった。
どうせなら、５人で何かしようよ。
薄暗い屋上、言い出したのは有岡くんだった。
…とはいえ、高校生の俺らにできることはたかが知れてる。
アイデアを出し合ってみるも、どれもこれもくだらない、
インパクトに欠けるものだった。
皆が腕を組んで眉間に皺を寄せていると、
有岡くんが突然、爆弾を落とした。
「じゃあさ、皆で学校ハイジャックしようよ」
瞬間、時が止まったように、
皆の口が開いたままふさがらなかった。
そんな中、最初にその爆弾に触れたのは八乙女くん。
「…いやいやいや、お前いつから馬鹿になったんだよ」
「そうだなぁ、それはさすがに…なぁ、雄也」
「あぁ…うん」
薮くんに肩を組まれ、
俺は場の流れで適当に返事をした。
俺も最初は…するつもりなかったけれど。
「俺、大ちゃんにさんせー」
伊野尾くんが細くて白い腕を、
ふわっと上げた。
「どーせ死ぬんだしさぁ。それに、俺学校嫌いだし」
伊野尾くんは上げた手を下ろして、
指で屋上のコンクリートにバツを描いた。
「こんな権力にまみれた理不尽な世界、壊してやろうよ」
伊野尾くんの言葉の後の、僅かな沈黙。
その空気感を破るかのように、
光くんが立ち上がった。
「俺は、お前らに賛成するつもりなんてさらさらないけど、
…スクールカーストは破ってやりたい」
「んー、でもやるしかないよね」
薮くんも空気を悟ったのか、八乙女くんの次に立ち上がる。
�睫擇蓮�と伊野尾くんに言われて、俺は一瞬戸惑った。
このまま世界が終わる実感もわかないし、
それにやっぱりリスクがでかすぎる。
けれど５人で何かできるのも、
もしかしたら、いや、
確実にこれが最後だった。
「…俺も、賛成」
「よーし、来週の今日、
この学校を俺たちで支配してやろう」
おーっ！
重ねた５人の手のぬくもりと、
叫んだ声が冷たい世界に響きわたった。
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