【短編】白夜鉄道回送録 (ページ1)

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prologue ページ1

＊

…ねぇ、君はなんでこの列車に乗ったの？

…あぁ、ごめん、怪しいものじゃないんだ。

ただ、僕以外に乗ってる人がいたから気になっただけ。

…僕の名前？

ごめんね、僕に名前はないんだ。

生まれた場所も、親の顔も、

僕が存在することを証明するものは何一つないんだ。

…君は、人間でしょ？

僕は君と似ているけど、ちょっと違うんだ。

僕もよく分からないけどね。

…この列車、見たでしょ？回送列車なの。

だから、目的地に着くまで停車しないし、

それまですこーし時間がかかるんだよね…。

…そうだ、目的地に着くまで、

二人で暇つぶししようよ。

どうせ、外も白夜だし。

変わらない景色眺めててもつまらないでしょ？

…じゃあ、白夜が終わって列車が止まるまで、

フシギでフラチでフカシギな「ニンゲン」の話を、

僕が話してあげるね。

…あ、興味なかったら無視しても、

途中で寝ちゃってもいいからね。

それじゃあ、

まずはこのお話から＿＿＿