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鶴「さて…報酬だが」
A「相手の言うことを何でも聞く、でしたかね」
鶴「あぁ」
厨から麦茶を拝領したAが縁側に座る鶴丸の隣に腰掛ける。二振の額には汗が滲んでおり、その水分を取り戻すかのように麦茶をすすった。
A「それで、その内容はなんですか?」
どこか観念したような面持ちで彼女は鶴丸に問う。
鶴「信長公についてどう思っているのか。それを知りたいんだ」
A「上様…?」
鶴「そうだ。俺も一時期は世話になったもんだ。
といってもあの頃は、お前さんみたく重臣の佩刀じゃなく、数ある刀剣の一つだったんだがな」
A「そうでしたか…それならば、どこかでお会いしたことがあるかもしれませんね」
鶴「…そうだな」
二振とも互いの目を見て微笑む。かつて魔王刀であった彼女のつむった目には何が映っているのか。凄惨な日々か、幸せな日々か。
鶴丸がAと同じように他の四振の魔王刀に物問えば、皆出す答えはまさに十振十色そのものだ。
薬研『常識人』
不動『愛すべき主人』
長谷部『憎悪の象徴』
宗三『運命を変えた存在』
同じ主人を思っているはずなのに、こうもすれ違う答えは、鶴丸にとっては滑稽なもので興味が湧いていた。
A「上様、ですか。
…あの方は平和主義者ですよ」
鶴「と、いうと?」
A「帝の力が弱まっていた時代ですから。誰か武士を統制するお人が必要でした。それが信長公だった、それだけの話ですよ」
遥か昔を目の裏に浮かべて、その情景にクスリと笑みをこぼして彼女は話した。
鶴「…随分と政治的な見解だな。ある意味表面しか見てないとも言う」
A「えぇ。私はあの方にさほど興味はありませんから。
あの日を除いて、ね」
二振の頬を撫でる風は先程までしたたっていた汗を吹き飛ばす。麦茶の氷も溶けきって、プラスチックの表面には結露による雫が伝っていた。
A「ふふ、驚きましたか?」
鶴「あぁ。驚いたな。まさか興味がないとは」
”あの日”についてまでは言及しないのは彼の優しさか。
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黒雪 長谷部信者(プロフ) - 初めまして! 人間無骨とても、面白かったです^^* (2019年7月8日 0時) (レス) id: 64abb0ccf3 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 続編はどこにあるのでしょう!とても気になります!待ってます! (2019年4月1日 16時) (レス) id: c428feaf44 (このIDを非表示/違反報告)
しおキャラメル - 長可ちゃん!!!!人間無骨!!!!!好きです!ありがとうござます(*≧∀≦*) (2019年2月19日 1時) (レス) id: 2d0ba07ba8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:望田 | 作成日時:2019年1月26日 18時