【刀剣乱舞】人間無骨

第2章 兄妹の在り方 ページ29

窓から降り注ぐ朝の暖かい光に、Aは本丸での初めての朝を迎えた。

隣に居たはずの人は早朝であるはずなのに居なくなっている。だが、布団から伝わる温もりから、まだ居なくなってから時間は経っていないのだとわかった。

底冷えする朝の寒さから早く逃れようと、急いでAは主からの贈り物である兄とお揃いの袴を着た。

やることもなく、昨日教えてもらった道を思い出しながらあてもなく歩いていたが、一つの部屋が明るいことに気がつく。

A「おはようございます」

歌「ああ、おはよう。……と、君か。今は明け六つ(五時半)さ。まだ寝てても良かったのに」

鍋をグツグツと煮込む音が聞こえてくる。朝からせわしない、厨であった。

相変わらず目を合わせて話してくれない、昨日から兄になった歌仙と他愛もない話をする。

歌「もしかして起こしてしまったかい？」

A「いいえ、外の光が少し眩しくて……よかったら朝餉の準備、手伝いますよ」

歌「そうかい？それは助かるが……ところで君、料理の心得はあるのかい？」

A「はい、料理は女性の嗜みですから」

歌「それは雅だね」

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