わたしのヒーローアカデミア。【ヒロアカ】 (ページ37)

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第9話-3 ページ37

＊

少年は大きく振りかぶると、力強くボールを放った。

「！」

途端、ボールは姿を消した。Aは目を丸くする。ボールはまるで弾丸のようなスピードでAたちの視界から消えた。少年は──まだ、立っている。

「まだ、動けますよ」

相澤の計測器がピピッと音を立てる。計測器が示した「705.3m」の数字は、お茶子に次ぐクラス2位の結果だった。少年は投げた手を押さえてはいるものの、相澤に向かって挑戦的に笑みを向けていた。その笑顔を見て、相澤も口角を上げる。どうやら相澤の試験に彼は合格できたようだ。

(…あれ)

Aはふっと少年が押さえている手の先を見る。人差し指がまるで紫芋のように変色し、でこぼこに曲がっている。

(うわっ…)

Aは周囲に悟られないように小さく顔をしかめた。見ているだけで痛そう、では済まされない。彼の指の中はぐちゃぐちゃになっているだろう。

(治してあげたい…けど…)

Aはちらりと、頭上に止まる薺と、左肩上を飛ぶ小鷹に目をやった。

(もう二羽呼び出しちゃってる。これ以上は…ごめんなさい。)

Aは両手を組んで顔の前に持っていき、祈るように、謝るように目を閉じた。

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