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7 夢がでかい ページ7

入間の手当は完璧だった。適切に、無駄のない処置。こいつも怪我を沢山してきたのだろうか。

手のひらにガーゼを当てて、サージカルテープで止める。手首の方は、家に帰ってから湿布でも貼っておこう。

「ありがとうございます」
「うっううん」

入間は処置に使ったものを元に直していく。
カチャカチャと器具を直す音だけが、やけに部屋に響く。

「で?いい加減話さないんですか?」

痺れを切らした俺は、つい聞いてしまった。

「………っどうして、どうしてわかったの?あの時…」
「あの時?……ああ」

「魔力爆弾だろてめー?」と俺がカマかけた時か。どうしてもくそもない。お前が主人公だからそうとしか言えないだろ。しかし、こんなメタいことはさすがに言えないので。

「直感ですかね。なんとなくそうかな、と思ったので」
「そんなっ…!」

やけに衝撃受けてるな。そんなに今まで魔力爆弾なこと隠し通せてたのか?この悪魔学校からストーリー開始な感じかねえ。

「アズくんは…どうもしないの…?」
「はい?どう、とは?」
「えっ…校歌でも歌ってたから、てっきり…」

校歌?え?まじでなんのこと?
この学校の校歌は人間の血肉すすって悪魔のてっぺん目指すぞオラァ!って感じじゃなかった?
なに入間くん悪魔のテッペン目指してるの?へえ、やるじゃん。さすが主人公じゃん?もしかして全悪魔がテッペン目指すものとか思ってるのかな?

「私は別にどうもしませんよ。興味無いですから」

入間が悪魔のテッペン目指そうが、俺には関係ない。俺は青春を楽しみたいだけなのだから。たとえ主人公じゃなくても、この世界の救世主じゃないとしても、この学園生活を楽しむぐらいは、脇役でも許せるだろうよ。

「そっか。そっかぁ…」

見るからに体の力が抜けていく入間。そんなに俺にテッペン目指されると困ったのか。並の悪魔なら他を蹴り落とすぐらいでいくもんなのにねえ、変なの。

「あっ、できればこのことは誰にも言わないでほしい…んだけど、いいかな?」

わざわざ人の野望を他人に言う場面とかないだろーが。

「ええ。いいですよ。私負けましたし」
「やっ、えと、別に僕が勝ったからとかじゃなくてねっ」
「じゃあ言いふらしてもいいんですか?私は構いませんが」
「それは駄目っ!…うん、お願い。ここだけの秘密にして」
「わかりました」

っぱ調子狂うわー。悪魔らしくない悪魔だなー。

幕間 Iの気づき→←6 ガバが出たけど仕方ないね



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作者名:南条 | 作成日時:2021年10月13日 21時

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