40 いざ尋常に ページ44
ジャズと別れたあと、家に帰って机の上にチラシを並べて見る。
今の俺は悪魔だ。楽しいことを、貪欲に求める生き物なのだ。ならば、本来の俺がしたいことを求めても、咎められないだろう。
アスモデウスではなく、俺が取りたい選択肢。
それなら…ここしかない。
俺は1枚のチラシを手に取り、師団入団の日を待ちわびるのだった。
*
「では、処刑玉法開始!」
カルエゴ卿のその言葉と共に、試合開始のホイッスルが鳴る。
今日は処刑玉法当日だ。ちなみに特に練習はしていない。
正直練習をするほどのものでもないし、チーム戦ではあるものの、個人の裁量を見るものなので、あれきりクラスメイトと一緒に練習することもなかった。
つまり、久しぶりのドッチボールだぜ!
俺はチームBだ。なんとジャズやあの入間と敵対することとなった。主人公と相対するとか負け確じゃん。
しかし!俺は絶対に勝つ。勝つことがポリシーと言ってもいい。勝ちこそ美酒。美酒こそモテ!
なので最初から本気で行く!
……
…
本気を出してたら、なんかあっという間に、1体1になった。
相手は入間1人。まさかの入学式の再戦である。
1度負けた身として、ここはしっかりと考えて行動せねばなるまい。
入間に勝つにはどうしたらいいか。
入間は避けのプロだ。体術も多少の心得がある。しかし、これまでの試合を見ている限り一向に攻めができていない。
どんなボールも捕らえられているのに、攻撃は誰かに譲っていた。
攻めができないのであれば、こちらの点が取られる心配はない。こちらが点を取れば済む話だ。
どのボールにも食らいついていく精神を利用し、そのボールを掴めなくさせればいい。つまり圧倒的高火力でねじ伏せる。これしかない。
手にしたボールに、ありったけの火炎魔法をぶち込む。
漏れだした魔力が、メラメラと自分の周りを燃やし始める。
「行きますよ!」
「ッ…絶対に捕るッ!」
炎を纏ったボールを、思い切り入間に向かって投げる。
勿論殺す気で。
ボールは一直線に入間の前まで飛び、入間はボール掴んだが、力に押されてボールと共に後退していく。
いいぞ!そのまま取りこぼせ!
しかし、入間はそのボールの勢いを利用し、体ごとひねって回転を加えて、まさかの投げ返しを図った。
攻撃がくると思っていなかった俺は、慌てて避けようとしたが、肩にボールが当たってしまった。
「勝者、Aチーム!」
試合終了のホイッスルが鳴らされ、勝敗が決した。
…完敗だ。畜生ッ!
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作者名:南条 | 作成日時:2021年10月13日 21時