5 あいつが主人公…だと……？！ ページ5
｢っ！！｣
少しカマかけてやれば、入間の顔に反応あり。こりゃ、相当スゲー魔力爆弾野郎だな。
はあ〜〜〜でもこういう主人公って1話目でなにかしら学園に穴あけるんじゃないのか、そんで周りビビらすんだろ。なぜしないんだ！？お前主人公なんダルォ？！
「………っだから、僕、出来ないよ」
めちゃくちゃ困った顔してる。そんなにバレたくないのか。…仕方ないなあ。後々学園ぶっ飛ばすのは確定事項なんだから。
「仕方ない。今回は見逃してやろう」
しかし、魔法はできても体術はどうかな？！
隙のできた入間の元へと俺は一瞬で距離を縮め、火を纏った拳を振りかざす。ずるいとか抜け駆けだとかそんなこと関係ない。奇襲は立派な兵法だ。すると入間はちょいと手を添えて攻撃を受け流した。受け流した？！
俺は勢いを殺せず、思い切り地面にすっ転ぶ。
お、おいおい、体術もできんのかよこいつ！！
うおおおおお！！あのアスモデウスが膝を着いた！！！特待生スゲーえええええ！
めちゃくちゃ熱気に包まれる。俺負け確じゃん。
「ああああの！ごめんなさい！大丈夫ですか？！」
転んだ俺に謝りながら手を伸ばす入間。…こいつまじで主人公だわ。疑って悪かったな。
その手を取り、立ち上がる。その時手首がズキリと痛む。手首捻ったかな。あと手のひらめちゃくちゃ擦れて痛てぇ。
「負けました」
「ええ？！僕達なにも勝負とかしてないですよね！？てかなんで急に敬語？！」
「一応勝負でしたから。私は負けたので」
礼儀を重んじる悪魔として負けは潔く認めなければいけない。それがイケてる悪魔というものだろう。
｢あの…アス…アモ…？｣
｢アスモデウスです｣
｢アスみょっ」
｢呼びにくいのでしたら、アズと呼んでください」
｢…アズくん？」
｢はい。なんですか？｣
｢手、怪我してるよね…？保健室ついて行こうか…？｣
優しさ、なのだろうか？正直煽りしか聞こえないが。
｢勝者の余裕ってやつですか？結構です。1人でいけます｣
｢ちっ違うよ！僕はただ心配になって…｣
｢もしかして人をイラつかせる天才ですか？｣
あれ、思ったより俺、負けたことが悔しいみたいだ。
というかこいつが主人公だとしたら、俺はなに？もしかしてかませ犬立ち位置？この状況だとそうなっちまうよな…
｢………少し君と話がしたいんだ｣
だったらはなからそう言えよ。心配とか上っ面のこと言われても、煽りにしか聞こえないだろ。
大方人に聞かれたくない話だから、かな。
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作者名：南条 | 作成日時：2021年10月13日 21時
