37 いざ練習 ページ40
――地下運動場
昼食後、いざ入間と練習をしようとしたら、クララが付いてきた。これは予想内だ。
しかし
｢己の必殺投球を見よ！」
｢ひぃっもう少し優しくお願いしますっ！｣
｢あはは！入間くん避けてばっか〜｣
｢ねむいんだけど〜｣
｢楽しいでござるなあ！｣
｢こっちにもボールくれよ〜｣
｢運動する女子のスカートが捲れるラッキーはいつですかっ！｣
何故かクラスメイトも巻き込んでの練習となっておりま〜す。これは完全に予定外だが、まあ楽しいのでOKです。
当の入間は初めルールがわからずぎこちなかったが、ドッチボールだとわかると、動きは格段に良くなっていた。しかし、クラスメイト達の激しい投球スタイルを見てからというもの、避けてばかりで攻めの攻撃が出来ていない。
恐れる気持ちもわかるが、それだと
｢入間さん。このままだと位階は上がりませんよ｣
｢えっ！？どうして？｣
｢全然ボールに触ってないですよね｣
｢…あっ。うーん…避けるのは得意なんだけど…特訓しないとなあ……でも…｣
出た！主人公特有努力の塊！
むしろ特訓をしてこその主人公とも言える！
｢特訓でしたら、
｢高位階…？｣
｢ほら、身近にいるでしょう。サリバン理事長やカr｣
｢なるほど！おじいちゃんに…！早速お願いしてみる！｣
…ウン、ソーダネ。カルエゴ卿が協力してくれる訳ないもんネ！
｢本当にありがとうアズくん！｣
｢いえ、私はルールを教えただけですよ｣
｢ううん、アズくんに聞いて本当に良かった。僕、頑張って特訓してみるね！｣
ぐ、グワーッ！笑顔が眩しいーッ！ピュアの塊か？！
｢……入間さんなら、きっと大丈夫ですね｣
｢え？｣
｢いいえ、なんでもありません。ほら、もうすぐ昼休みが終わりますよ｣
｢あっほんとだ！みんな、次は移動教室だよー！｣
そう言って入間は、クラスメイトに声をかけて、練習を切り上げていった。
自然とクラスの輪の中心にいて、みんなもまた受け入れている。そういうところを見ると、ああ、こいつは主人公なんだなあと深く納得する。
俺は、そんな風にはなれないや。別になりたい訳でもないからいいけど。
俺が目指すのは、青春。それさえ楽しめれば、悔いはないんだ。
小さくなっていく入間の背中を、俺も遅れないように後をついていくのだった。
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作者名：南条 | 作成日時：2021年10月13日 21時
