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33 日本人の心 ページ36

桜、そういえば久々に見たな。

思えば魔界ではあまり見たことがなかった。土地的にあまり生えにくいのかもしれない。

だからか、久しぶりに日本人の心と言うべき桜が見れて、俺は木の上だと言うのに、思わずしばらくの間見惚れていた。

「懐かしいな…」
「懐かしい?」

俺の独り言に反応した奴が一人。入間だ。

「久々に見ましたから。やっぱり桜っていいですね」
「うん……ごめんね、アズくん。アズくんだけじゃなくて、みんなにもだけど」

あ、一応悪かった自覚あるんだ。まあ、反省してるんならいいんじゃない?バビルスって結構校舎壊すの日常茶飯事っぽいし。無論歓迎ってわけじゃないだろうけど。

「私は別にいいですよ。結果的にいいモノ見れましたし」
「怒らないの…?」
「それは先生たちがしてくれるでしょう。私がする必要ありません」

危ない状況に陥ったけれど、結果オーライ。
四季を感じられる桜って、俺結構好きだったんだよな。

「入間ちすっごーい!なんかズドドド、ドバーンって!」
「あはは、クララも本当ごめんね」
「なにがー?私は楽しかったよー!」

それからほかのクラスメイトたちも、入間をすごいすごいと誉めそやす。

悪魔のいい所は、ここだ。最終的に楽しいものになれば、途中はどうであれ大概許されるのだ。
これには随分助けられたこともある。もちろん最後がどうにもならなかったら、その逆もあるのだが。

怒ることは大人に任せて、今はこの特等席の花見を生徒だけで独占しようぜ。



その後、桜は一時人気のスポットとなった。
ここいらでは見られない木だし、圧巻の存在感で花見の客が絶えなかった。

しかし入間は罰として、植物塔の修理に駆り出されたようだが。

「と、いうことで入間さんは見事に学園を破壊し、あとは知っている通りかと思われます」
「はぁーー……」

カルエゴ卿が深いため息をつく。
週二の報告の初日が、まさかこんなに濃い内容になるとは俺も思ってなかったよ。むしろ週二は多いと思ってたけどネタが尽きない。さすが主人公。

「入間にはあとの始末をするこちらの身も考えろときつく言っておいたが…入間のやらかしは本当に目に余る…」
「仕方ないでしょう、入間さんですし」
「…その嫌な信頼はどこからくるのだ」
「理事長の孫ですから。まあ桜も見れましたし、少しは大目に見てやってもいいじゃないですか?私が言うのも変ですけど」
「……さくら?あの木のことか?」
「え?」

先生知らないの?!

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作者名:南条 | 作成日時:2021年10月13日 21時

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