31 ふいっ ページ34
とにかく今は授業に集中だ。
再び自分の鉢へと向き合い、一呼吸置いてから
｢クワンクワン｣
呪文とともに魔力を込めれば、その苗はみるみるうちに猛火の花へと成長した。
うむ、正しく俺の花だ。
氷属性もかっこいいけど、炎属性の火力で殴る！って感じの強さに憧れて、よく火炎魔法を使っている。俺の魔力的にも、火が扱いやすかったのもあって十八番でもある。
クラスメイトからもすげー！燃える花だー！と純粋な賞賛の声をくれたが、何度聞いてもやはり俺にはむず痒い。この体がチートだしなあ〜。
｢あら〜綺麗！A+です｣
おっ、高評価まで貰ってしまった。やったぜ。
｢さすがアスモデウスくんですね〜。お母さんと似てますし｣
｢…母をご存知で？｣
｢お母さんが在学中に授業を担当したことがありますからね｣
えっ？！一体いくつだよ！？もっと若い先生だと思ってたんだけど！
適当に計算してもよんじゅう…
｢あ、今失礼なこと考えたでしょう？」
｢い、いえ。随分若々しいので、びっくりしただけです｣
｢ふいっ口が上手ね。さすがは
いやお世辞とかじゃなくて本心なんだけど…。
すると突然、後ろの方から眩い光が放たれた。
ばっと振り返ると、入間の前にある苗から有り得ない量の光が発されている。
ただ魔力を注ぐだけで、そんなことになるはずがない。これは……まさか！来たのか！あの主人公が力を制御出来ずに、学園を壊してしまうというお約束の展開が！
予想通りというべきか、その苗は瞬時にして太い幹へと変わっていき、上へ上へとものすごい勢いで成長し続けていく。
あまりの異常事態にクラスメイトも先生も逃げ始める。
いやいくら悪魔が頑丈だと言っても、普通に怪我したら痛いし、自ら痛みに飛び込まない…
つまりガラスが多いこの植物塔が壊されると、それなりに大怪我する人も出てくるってことだ！
何とかして破片を防がないと、自分はおろか周りの被害も最大になってしまう。
そして当の本人は、唖然と突っ立ている。おいお前が1番危ないんだぞお前が！！！！
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作者名：南条 | 作成日時：2021年10月13日 21時
