4 腕試しといこう ページ4
俺に名前を呼ばれたからかビクビクしながら俺の顔色を伺う入間。
いや俺の方がイケメンだし、高身長だし、こんなチビで普通の奴がハーレム作って女子を攻略していくなんて…本当にあるのか？うーん、前世でもそういうのはあったっちゃあったけど、ここ美形多い世界だぞ。やっぱ俺が主人公？
｢貴様、強いのか？｣
｢えっ？！強…くはないと思います…｣
強くないとか言いつつ、本当は強いやつだったりするんだろ？目立ちたがらないくせに、結局目立つ主人公のアレな。
こいつが主人公であれば、何かしらのイベントが起きるはずだ。ということで入間が本当に主人公なのかを試すことにした。
｢少し、ついてこい」
｢え、ええ？」
戸惑いつつも俺に言われた通り着いてくる入間は、典型的な弱い悪魔のようで、期待を裏切らない風貌だ。
小さく開けた中庭に着くとすぐ、俺は得意な火炎魔法で火の玉を作り、入間に向かって投げた。
しかしそれはいとも簡単に避けられた。なるほど奇襲には慣れてる、と。
｢えっちょっ？！いきなり何するんですか？！｣
｢私はアスモデウス。先程の式でなかなかの大物っぷりを見せてくれた特待生の力を少し試したくなっただけだ。理事長自慢の孫のようだしな｣
｢ひぇっ！僕、強くないんですってば！｣
とか言いつつ俺の火の玉避けてるじゃん。
どんどん火の玉を作って、入間にぶん投げる。しかし全て避けられる。おっかしいなー。俺、魔術も魔力も天才的な才能のはずなのに。
少しの間、入間と格闘をしていると、だんだんギャラリーが集まってきた。
｢首席と特待生が殺し合いだってよ」
｢え！超見ものじゃん！どっちが死ぬんだろ？」
少しの打ち合いでよかったのだが、思った以上に入間が健闘し長引いてしまっている。
早く勝負を終わらせたいのに無駄に集まったギャラリーのせいで、どうにも決定的な勝ち負けがないと引き下がれない。
しかし勝負を決めようにも、入間が攻撃を仕掛けてこないので全く決まらない。
「なぜ反撃しない」
「えっ？！で、できないですよそんなこと」
「あのアスモデウスに手も出す必要ないってことかよ！スゲーな！」
野次馬の言う通り入間がめちゃくちゃ魔力をもってて、制御できなくて学園吹き飛んじゃうから無理♡という意味なのか、防御特化型で普通に落ちこぼれなのか。どっちなんだ。一体どっち系統の主人公なんだ！
「本気で来い、特待生」
「や、だから本気も何も！」
「――そんなことしたらバレてしまう、か？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 57人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：南条 | 作成日時：2021年10月13日 21時
