25 予定調和…? ページ26
「クララとりあえず……ん?」
降りろとクララに言おうすると、視界の端に金色の塊がヒュッと駆け抜けるのが見えた。
あれは、サブノックか?しかし一直線に向かって行く先は、カルエゴ卿からも禁止と言われていた
ここはあいつを追うべきだろうか。いくら問題児とはいえ、まだ中坊である。大人の俺が助けに行くべきか。
いや待て、たしかに精神年齢は大人ではあるが、今の俺はまだ魔術見習いの域を出ない。ここは生徒の俺が出る幕ではなく、カルエゴ卿が助けに行くだろう。
あの人も教師であるならば、おそらく助けに…。ううん…不安だ。あの人の性質的に簡単に助けに行かなさそうだ…だって悪魔だし…。やはり今からでも追うべきか?
するとグンッとなにかに後ろを引っ張られて、首に服が詰まって、一瞬締まる。一体なんだ!
「アズアズ、絡まった!」
そこには、魔生物の蔦に絡まって動けないクララが。
本当に…こいつはっ……!
*
その後も、クララはあっちに行ったりこっちに行ったり自由奔放に動き回り、色んなトラブルに巻き込まれていくので、お守りをする羽目となった。5歳児ってこんな感じかな。
ひとつ問題を解決するとまた問題を生み出す。それの繰り返しをしていると、あっという間にゴールまでたどり着いてしまった。
しかも俺たちが一番だったらしい。あまりにも呆気ない結果だ…。
「わーい、私たちが1番だよ!」
「何故か釈然としない…」
「エギー先生ー!どうだった?私たち!」
「ええい!お前はもう少し落ち着け!」
ゴールの旗の下ではカルエゴ卿が紙に評価をつけていたが、クララが速攻絡みに行く。本当に嵐みたいな子だな。
ん?あれ、なんかカルエゴ卿こっちに向かってない?クララも不思議そうにカルエゴ卿を見て……なんか俺の目の前まで来たんだけど?!
「どうやらお前が私のクラスに入ったということは、以前の"お願い"を聞いてもらえるということだな?」
黒い笑顔を見せながら、上から目線で俺を見る。
…カルエゴ卿が言いたいことは、つまりあれか?
俺が前に、教師との関係性ができていないうちから生徒に物事を押し付けるなと言ったことか?
今は担任の先生とその生徒という関係になってしまった。つまり俺は先生からのお願いにノーと言えなくなった、ということである。
絶対嫌だ!!!!
これから入間を四六時中見張るとなると、俺の自由な学校ライフはどうなるんだ!なんとしても阻止せねば!!
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作者名:南条 | 作成日時:2021年10月13日 21時