幕間 Cの胸中 ページ29
入間ちから度々その名前は聞いてたの。
"アズくん"
入間ちとオトモダチになった時に、そのアズくんともオトモダチになりたいんだって言ってた。
どうやらアズくんは、初めて会った時から入間ちに優しくしてくれたんだって。すごく大人っぽくて、アズくんみたいな悪魔になりたいとも。
入間ちがそんなに言うほどすごい人なら、私も会ってみたいなあ。
って思っていたら、飛行試験の直前に彼を見つけた。
桃色の髪の毛に、純白の制服。入間ちが言ってた通りだ!
それから私は一直線に彼の元へと走ったんだけど、丁度スタートの号令がかけられて、彼の背中に乗ったまま、試験はスタートとしてしまった。
彼はものすごいスピードで空を駆け抜けていく。
今まで味わったことのない疾走感に、思わず私も言葉が出なかった。
このまま降りてしまうのもなんだか惜しい気がする。だから少しの間だけ彼には黙って飛行を楽しんだ。
*
「アズアズ、助けて!」
アズアズは本当に優しい。私はよく周りの人に飽きられれるし、いつの間にか周りに人がいなくなっている。私が助けてと言っても助けてくれる人なんていなかった。
だけどアズアズは飽きず、私の事を助けてくれる。
呆れてるかもしれないけど、見捨てずにいてくれる。
入間ちの言う通りだ、アズアズは優しい。それに大人っぽい。行動も、考え方も、大人が近くにいるような安心感というか。
「これで何度目だ…クララ、いい加減覚えろ。こいつの種は、毒があるんだ」
「へへへ、ありがとうアズアズ!」
「あと自分で飛べ」
「うーん、アズアズの背中、安心するの!」
「おい私は父親じゃないぞ」
たしかに父親ではないけど、アズアズから感じる安心感は、誰とも似つかないような…特別な感じがする。
入間ちも、アズアズと早くオトモダチになれたらいいな。もちろん私もその輪の中に入れたら…最高だなあ。
57人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:南条 | 作成日時:2021年10月13日 21時