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幕間 Cの胸中 ページ29

入間ちから度々その名前は聞いてたの。

"アズくん"

入間ちとオトモダチになった時に、そのアズくんともオトモダチになりたいんだって言ってた。

どうやらアズくんは、初めて会った時から入間ちに優しくしてくれたんだって。すごく大人っぽくて、アズくんみたいな悪魔になりたいとも。

入間ちがそんなに言うほどすごい人なら、私も会ってみたいなあ。

って思っていたら、飛行試験の直前に彼を見つけた。
桃色の髪の毛に、純白の制服。入間ちが言ってた通りだ!

それから私は一直線に彼の元へと走ったんだけど、丁度スタートの号令がかけられて、彼の背中に乗ったまま、試験はスタートとしてしまった。

彼はものすごいスピードで空を駆け抜けていく。
今まで味わったことのない疾走感に、思わず私も言葉が出なかった。

このまま降りてしまうのもなんだか惜しい気がする。だから少しの間だけ彼には黙って飛行を楽しんだ。



「アズアズ、助けて!」

アズアズは本当に優しい。私はよく周りの人に飽きられれるし、いつの間にか周りに人がいなくなっている。私が助けてと言っても助けてくれる人なんていなかった。

だけどアズアズは飽きず、私の事を助けてくれる。
呆れてるかもしれないけど、見捨てずにいてくれる。

入間ちの言う通りだ、アズアズは優しい。それに大人っぽい。行動も、考え方も、大人が近くにいるような安心感というか。

「これで何度目だ…クララ、いい加減覚えろ。こいつの種は、毒があるんだ」
「へへへ、ありがとうアズアズ!」
「あと自分で飛べ」
「うーん、アズアズの背中、安心するの!」
「おい私は父親じゃないぞ」

たしかに父親ではないけど、アズアズから感じる安心感は、誰とも似つかないような…特別な感じがする。

入間ちも、アズアズと早くオトモダチになれたらいいな。もちろん私もその輪の中に入れたら…最高だなあ。

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作者名:南条 | 作成日時:2021年10月13日 21時

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