叶うなら君と、また【赤葦京治】

ep-15 ページ17

翌朝、電車に揺られつつ英単語帳をパラパラとめくっていると、ポケットの中でスマホが震えた。

研磨に伝え忘れたことでもあったのかな、黒尾さん。

そう思いつつ、スマホを取り出すと案の定通知が。

「えっ」

表示された名前は黒尾さんでも、公式LINEでもなく、「けいじ」。

数件通知が連なっている。

『おはよう』

『見てこれ』

『この前できたスワンの前なんだけどさ』

そして最後には画像が添付されている。


アプリを立ち上げてトークを開くと、中学の時はよく通った道の一角の写真。

そこそこの大きさの白鳥のオブジェが佇んでいる。

少し前に新しく出来たお店の名前が「スワン」なのは知っていたけれどこんなのが置いてあるなんて。

『これ、先週撮ったやつ』

画像。

『で、こっちが先月』

画像。


まだ1件も返信していないのにポコポコと送られてくるメッセージ。

画像の中の白鳥はじわじわと動いていて、ちょっと面白い。

「夜中に動いてるのかもね笑」
と、送信すれば、

『やっぱり？俺もそう思ってたんだよね』

と、返ってくる。

私もなにかネタになるような写真がないかなあ、と思って画像を探して送る。

「研磨。昨年の文化祭でカジノやったんだけど、その時の衣装〜｣


袴を着て、金に染まりたての髪をオールバックにさせられている研磨の写真を選んだ。

このときはちょっとやっぱり面白かった。

爆笑しているフクロウのスタンプが送られてきた。


「今年の文化祭良かったらおいでよ。」

と打って、いやでも忙しいよな…と思ったけれど、誘うだけなら、と送ってしまった。

迷惑だったかも、と思いつつ返信が気になる。

『もちろん！梟谷のも来てよ』

そう返ってきてるのを見て、ほっと一息つく。

直接喋るよりLINEだと少し明るくぎこちなくな赤葦とのトークに、そうそうこうだった、と懐かしくなる。


・


更新すっっごいひさしぶりでごめんなさい！！！
これからもほんとに気まぐれに更新します。
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