御出口はずっと先《８番出口》 (ページ1)

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0番目の出口ページ1

会社が終わり、今日は早くに仕事を切り上げられた私は、帰宅ラッシュの満員電車の中、

早く帰れることに喜びを感じながら音楽を聴いていた。

目的の駅に着き、電車から降りる。

この駅から歩いて10分くらいのところに家があるので、早く帰ろうと歩くスピードを早めていたときだった。

"ピロン♪"

ケータイの通知が鳴った。なんだと見てみると、仕事についてのことだった。

まあそんなことどうでもいい。私は早く帰りたいのだ。

ケータイの電源を落とし、顔をあげる。

先程までにぎやかだった駅は、やけに静かになっていた。

少し気味悪く感じた私は、とりあえず早く帰ろうと足を動かした。

足音が鳴り響く。まるでここに私だけしかいないみたいな錯覚を起こす。

大丈夫。きっとここはあまり誰も通らないところなんだ。

そう思って、焦る気持ちを落ち着かせる。

通路の角を曲がったとき、向こうの角からサラリーマンが歩いてきた。

よかった。と安堵する。

サラリーマンに軽く会釈をして、隣を通りすぎる。

スマホに夢中だったから、見えてないだろうけど。

そうして角を曲がると、先程通った通路とはあまり変わりのない通路。

まあ地下通路ってこんなものだし、あまり違和感を感じないまま行こうとしたとき、

さっきのサラリーマンが角からやって来た。

え？そんなことある？

いや、きっとさっきのサラリーマンの人に似てる人なんだきっと。

自分に似てる人なんてこの世にいるって聞いたことあるし。

そう思ってそのサラリーマンの隣を通りすぎる。

そうして通路の角を曲がり、視界に入るのは、先程の通った通路と変わりない通路。

いや、おかしい。

ようやくここで違和感に気づいた。

そうして向こうの通路の角を見ると、サラリーマンがこっちにやって来る。

先程と、足取りと、スマホを見てばかりなのも、変わってない。

気味が悪くなって、急いでサラリーマンの横を通りすぎる。

そうしてそのまま通るとなにも変わりのない通路。

そうしてまたあのサラリーマンが歩いてくる。

なに！？なんで！？なんでずっと同じ通路なの！？

訳が分からなすぎでパニックになる。

一度気持ちを落ち着かせて、０番出口と書かれた物の横になにか張られていることに気づいた。