165. ページ32
Side.you
｢ ねぇねぇ、そろそろ名前教えてよ ｣
｢ だから 三井だってば ｣
ーーーただいま 家に着いて、五度目のやり取りである。
開久の野郎達をぶん殴って痛々しい姿にしたり、三橋や伊藤の情報を色々と聞き出したりした挙句、私は四人のアジト的な場所に連れ込まれた。
奥の部屋に顔に数箇所 殴られた跡が残っている男が眠っているから、きっとその人の家なのだろう。…ほんと、誰にでも容赦しないんだなこいつ。
家でまったりとしているそいつらは、そういや自己紹介してないじゃん!! なんて言い出して、必要も無い自己紹介をしてくれた。
四人の名前、いつもは東京にいるということ、東京の紹介などなど。どうでもいいことばかりペラペラと喋ったそいつらは、んで彼女ちゃんの名前は?と問うてきたのだ。
自分の名前まで教えてしまえば、こいつらに 貴方達が探している奴の一人です、と素直に名乗り出る事になる。
それで、苗字だけしか言わなかったら しつこい程に名前を聞き出そうとしてくるのだ。
本気で三橋と伊藤とやり合いたいユタカと、私たちの会話に飽きてきた岩田とゴローは ｢果たし状を出してくる｣と言って出て行った。
二人きりになった今も、紅野は飽きずに同じ質問を何度も何度も。
そろそろ危機感も何もかもが薄れてきた私が、いつもの様に はぁ…とため息をついていると 何故かそいつは嬉しそうに笑う。
｢ 落ち着いてきたでしょ ｣
｢ は? ｣
｢ ピリピリした雰囲気が無くなったからさ〜、俺といたら安心する? ｣
｢ 何言ってんの ｣
｢ 知ってる? 一緒にいて安心する人って結婚相手にぴったりなんだって ｣
｢ あっそう ｣
｢ いい夫婦になれそうだね〜 ｣
｢ 却下 ｣
｢ 照れ隠しだ ｣
ふふふ〜、と 笑ったそいつは、
｢Aちゃんはツンデレってやつだね｣とにこにことした表情を崩さないまま言う。
私は 違う、と言葉を返そうとしたところで 彼の言った言葉をもう一度頭の中で反芻して 慌てて彼から距離を取った。
紅野は いきなり離れていった私に少し驚いた様子だったが、すぐに私がそうした理由が分かったようで 口が滑っちゃった〜と。
｢ なんで名前… ｣
｢ うーん、だって軟高の制服着てるし 俺ら倒せるほど喧嘩強いし? そんな女の子がほいほい居るわけないじゃん
だから、君がAちゃんだろうなって ｣
考えたら普通分かるでしょ? と笑う彼から、私はもう少しだけ後ずさった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 520人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零生(プロフ) - 看板さん» ありがとうございます! 体調に気をつけてゆっくりですが更新していきます。三橋大好き派のお仲間嬉しいです!!笑 (2019年1月18日 7時) (
レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
看板 - いつも更新楽しみにしてます!これからも更新頑張ってくださいね。でも、くれぐれも体を大切にしてください。私も三橋大好き派なので! (2019年1月17日 21時) (レス) id: 50ee7e3d77 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - pv8OQI9Q1ZhagH7さん» ありがとうございます！私も三橋さん大好きなのでお仲間としてキュンキュンをお届け出来てるようで嬉しいです!!これからもよろしくお願いします！ (2019年1月16日 20時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
pv8OQI9Q1ZhagH7(プロフ) - 少しづつでも更新嬉しいです！三橋大好き派としてはとてもキュンキュンします！もう好きです！ (2019年1月16日 17時) (レス) id: 3430b5c3e7 (このIDを非表示/違反報告)
零生(プロフ) - 虚無子さん» ありがとうございます! 以前よりはゆっくりになってはしまいますが、がんばって更新していきたいと思います! 良ければこれからもよろしくお願いします! (2019年1月9日 15時) (レス) id: c45c7990b9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
