Six。 ページ8
「高木さ〜ん。高木さんも飲もうよ〜！」
「すみません。私、お酒は苦手なので……」
酔って絡んでくる上司を適当に往なしながら烏龍茶を口にする。
いつも絡んでくる同僚も、上司の機嫌取りなのかあっちこっち走り回っていた。
「隣、いいですか？」
「はい。どうぞ」
「ありがとうございます」
ニコリ、と笑ってくる見るからに人の良さそうな男。
確か、営業部の期待のエース、とかだっただろうか。
私よりも若い子だったかのように思う。
「あの、高木さんのお噂は、予々……」
「噂？」
「その、綺麗で、飲み会とかにはあまり参加しないし、参加してもお酒、飲まないって」
「噂になるほどの話でもないでしょうに」
綺麗、というのも化粧で繕ってできた顔のことだし、そもそも同僚の方が私の何倍も綺麗だろう。
「いえいえ。高木さんを一途にさせる恋人は、一体どんな人なのだろうか、と」
「一途に……？」
「はい。仕事も直帰ですし、恋人、いるんですいね？」
「はは、まさか」
いるわけが無い。
いたら、きっとこの場で酒を飲んでいるだろう。
いや、アイツが恋人になっていればお酒は飲めないか、なんて有り得もしない未来を思い浮かべる。
「またまたー、隠さなくてもいいんですよ」
へらり、と人懐っこい笑みを浮かべるこの男に、少しだけイラッとしてしまう。
伊沢ならそんなこと言わないよ。
そもそも、伊沢はそうやって物事を決めてかからないものね。
私に彼氏がいるだなんて伊沢が知ったら、きっと驚きながらも喜んでくれるでしょう？
それとも、先抜けしやがって、なんていつもみたいに不貞腐れて唇を突き出すのかしら。
「高木さん、聞いてますか？」
「あー、はい。なんですっけ」
だから〜、なんて会話を続ける男に、結局意識は伊沢に持っていかれるのだった。
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緑の白猫 - お話読ませて頂きました。人と人とのもどかしい関係を上手に書かれ、読んでいてウルッときました。良い作品をありがとうございました。 (2021年4月2日 16時) (
レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
たかせ(プロフ) - 奈都さん» 奈都様にそう言っていただけるなんて……嬉しい限りです……！ ありがとうございます!! (2020年4月4日 1時) (レス) id: 66eef8f813 (このIDを非表示/違反報告)
たかせ(プロフ) - 空白@吹部@Tp@不定期浮上さん» コメントありがとうございます!! 出来るだけ早く公開できるように精進致します!! (2020年4月4日 1時) (レス) id: 66eef8f813 (このIDを非表示/違反報告)
奈都(プロフ) - はじめまして。最初から最後まで夢中になって読み切ってしまいました。終わり方にかなり驚いてしまったのですが、どうか最終的には幸せな終わりが来てくれますようにと祈りつつ、続編も楽しみにしております…！ (2020年4月4日 1時) (レス) id: 1ea9b7d420 (このIDを非表示/違反報告)
空白@吹部@Tp@不定期浮上(プロフ) - 続編何年後でも待ってます！！！頑張って下さい！！！！ (2020年4月4日 1時) (レス) id: 16e27b9642 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たかせ
| 作成日時：2020年4月3日 2時
