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「久しぶり……」
インターフォンを鳴らす。
しばらくして出てきたのは見覚えのあるクリーム色の髪に赤い瞳の若々しい女性。
見た目だけで言えば38歳なんて思えないだろう。
「あら、本当に久しぶりねえ。どうしたの？」
中に入るよう促しながら問うてくる人。
その人は私の姉だった。
玄関に家族3人分の靴が並べられているのを見て方を下ろす。
「いやあ、久しぶりに話したくて。かっちゃんと」
姉の名は爆豪光己。
相澤先生が受け持つ1年A組に所属する爆豪勝己の母である。
「勝己なら自分の部屋にいると思うし入りな〜。あ、何時までいる？ ご飯食べてく？」
「じゃあお願いしよっかなあ」
リビングに引っ込んでいく姉を見送って2階に上がる。
まだ出久くんのカウンセリングをしていた頃はよく来ていたのでこの家の間取りは分かっている。
軽くノックをして扉を開けば、腕立て伏せをしていたかっちゃんがこちらに視線を向けた。
「ンの用だよ」
「久しぶりに遊びに来ただけだよ。まさかかっちゃんが雄英来るなんて思っても見なかったけど」
いや、それは嘘だ。
プライドの高いかっちゃんがどこの高校を受けるかなんて分かっていた。
「カウンセリング来てくれなくて寂しかったなあ」
「いつから雄英にいたんだよ」
「元々雄英の普通科に通ってたんだよ。大学卒業した時に校長に誘ってもらってね。だからまあ、8年くらい」
腕立て伏せ伏せをやめて座ったかっちゃんの横に座る。
昔は姉さんとそこまで仲良くなかったし、制服姿を見た記憶がないのかもしれない。
まあ、わざわざ姉の家に遊びに来るのに制服を来てなかったというのもあるけど。
「怪我ないみたいで良かった」
「おぅ」
「最近会えてなかったもんね。大きくなっててびっくりしたよ。成長期だなあ」
「お前は、変わんねえな」
「そりゃもうおばさんだからねえ」
カラカラと笑えば、かっちゃんは真剣な瞳を向けてくる。
なにか言いたそうに口を何度かはくはくとさせて、諦めたように閉じた。
「どうしたの？」
「……見つかったンか」
「え？」
「お前、俺が餓鬼ん頃ずっと探してたろ。なんかは知らねえけど」
「あ、ああー……。うん、どうだろ」
昔の話だ。
時間がある度に色んな場所に足を運んでずっと探して。
それでも全然見つからなかった。
ちょうど姉さんと距離が縮まったのはその頃で。
と、言うより様子が変だった私を姉さんが気にかけてくれたから。
「大丈夫、だよ」
本当に。
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作者名：たかせ
| 作成日時：2021年9月6日 14時
