06 side目黒蓮 ページ7
．
今まで味わったことの無い、感覚
．
Aの柔らかそうな厚めの、ぷるぷるの唇を見て
無性にキスしたくなって顔を近づけたら
困ったように、でも少し唇に隙間があって
頬を赤くして…俺のことを、待っているようで
物欲しそうな潤んだ瞳で、俺を見ていて
．
目が合った時、身体の奥からゾクっとした
このまま2人しか存在しない場所に連れ去りたい
そして、思うがままにキスしたい、抱き潰したいって
思ってしまった
．
こんな感情、こんな感覚初めてで
もどかしい気持ちになったのを隠した
このままキスしていたら
きっとずっと、止まらなかった、止まれなかった
．
｢めめー？めーめ！｣
｢んー？｣
｢リハ室行くでー｣
｢あ、おっけ｣
．
康二くんに言われるまでメンバーの移動に気づかないくらいには、Aのことが頭にこびりついて離れない
．
｢どしたん？｣
｢いや、何も｣
｢どーせAのことやろ｣
｢分かってるなら聞くなよ…｣
｢めめのことはお見通しやからな！｣
．
ふんっ！て自慢げに胸を張る康二くん
康二くんには、今日Aに会うことを伝えてあった
翔太くんには話せなかったけど
．
｢Aかぁ…あの子は不思議な魅力あるよなぁ｣
｢分かる？｣
｢おん、きっとあの子にしかないよなぁって思うで｣
．
芸能界にいたら売れてたんだろうなぁって考えるのは
この世界にいる所以だと思う
人を惹きつける、確かな可憐さと色気
あの子は、どこで備えて来たんだろう
．
｢Aはモテるでぇ｣
｢知ってる｣
｢実際、しょっぴーも虜やねんから｣
｢…知ってる、｣
｢めめ、ガチなん？｣
｢……｣
．
俺の顔を覗き込む康二くんの顔が見れない
．
分からない、この感情が何なのか
Aの切ない顔を見て、ゾクってした感覚が忘れられないまま、頭の中で渦巻いてる
．
｢めめをこんなんにさせるAって凄いんやなぁ｣
｢何関心してんの｣
｢……まぁ、めめは俺のもんやからな！｣
．
ほら行くでーって、康二くんに連行される
いつも笑顔の康二くんと話すのは心地いい
．
｢康二くんは？｣
｢んー？｣
｢康二くんはAと何もないの｣
｢んー……俺たちはただの仕事仲間やからな！｣
．
定期的に仕事で会えるんやで！って
康二は白い歯を見せた
．
少し、康二くんが羨ましいと思った
．
｢そう言えば、来週A、スタジオ来るで｣
｢えっ｣
｢えっ？｣
．
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作者名：凛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時：2022年1月12日 0時
