13 side目黒蓮 ページ14
．
｢あっ｣
｢え、何？｣
｢目黒駅だ｣
｢いや恵比寿だから、あれ｣
．
後部座席で、ふざけてくすくす笑うAの声がする
ドライブ、楽しんでくれてるみたいでよかった
それにしても、何でだろう
Aの声を聞くと落ち着くのは
．
｢蓮、何か言ったー？｣
｢今日の黒ワンピ似合ってるって言った｣
｢運転中に後ろ見ちゃダメよ？｣
｢まだちらっとしか見れてないけど、可愛すぎ｣
｢嬉しい、蓮のメンバーカラー？が黒って知って｣
．
思い切ったモノトーンに致しましたって
Aは照れくさそうに言うけど
それだけじゃなくて、真っ赤なリップも似合うから
その色、落としてやりたいなんて思ってしまう
やばいかな、俺
．
昼をすぎた頃にAを迎えに行って
その後はぐるぐるとドライブをしてっていうプラン
俺が本当に連れていきたいところは
夜が1番綺麗に見える場所
．
｢疲れない？ずっと車の中だけど｣
｢全然、蓮と話してるの楽しいし｣
｢楽しいし？｣
｢蓮が運転してるのかっこいいから、見てられる｣
｢恥ずいからあんま見ないどいて(笑)｣
．
Aとはほとんどずっと話が途切れなかった
気付いたのは、Aは聞き上手ってこと
つい、自分のことも話しちゃうし
Aも自分のことを話してくれたりする
．
話していて分かったAのこと
Aは、阿部ちゃんの大学の後輩だってこと
最後に彼氏がいたのは大学生の頃ってことや
本を読むのが趣味ってことを知った
．
｢インテリじゃん｣
｢一応編集のお仕事してるので｣
．
阿部ちゃんと気が合うんじゃない？って
思ったけど、何だか言いたくなくてやめた
．
．
｢着いたよ｣
｢おっ、待ってました！｣
．
俺がAを連れてきたかったのは
東京の端にある、公園の大きな観覧車
夜になるとライトアップされて
東京の夜景が見える、いわゆるデートスポット
今日は運良く、人が少ない
．
｢だからドライブだったのね｣
｢そーいうこと
あと、高いとこ平気？｣
｢蓮がいるから大丈夫｣
．
観覧車に乗る時、Aはきゅっと俺の腕にしがみついてきて隣に座った
ゴンドラが傾く
本当に高所恐怖症なんだろうか
．
｢ちなみにだけど、高い所は嫌いじゃないの｣
｢それなら良いけど｣
｢蓮の隣に来たかったの｣
．
｢…ねぇ、この前おあずけしたキスの続き…しよ？｣
．
あぁ、この人は俺のスイッチを押すのが本当に上手い
．
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作者名：凛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時：2022年1月12日 0時
