球団職員に花束を。

□.48 元通り…？ ページ49

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『話、あるんやけど』



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いつもより早めに出勤したら
早出していた遥輝さんがいて
ぐい、と遥輝さんに腕を引かれて
まだ誰もいなかった札幌ドームのベンチに
まさかの、二人きりになってしまった


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(…気まずい)


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遥輝さんの力は、想像以上に強くて
逃げてしまいたかったのに、それも出来なくて
キスの一件以来、どうすればいいか分からなくて
必要最低限、遥輝さんには近づかないようにしてた
…けど、いつまでも逃げてるわけにもいかないよね

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「っあの、遥輝さ」
7「…ごめん、Aちゃん」
「…え、」
7「改めて…あん時のこと、ほんまに悪かった」
「いや、私の方こそごめんなさい」


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頭を下げる遥輝さん

…違う、違うよ
私だって、不自然に遥輝さんを避け続けて
遥輝さんも私に極力近付かないように
気を遣っていてくれたこと 知っていながら
何でもっと早く向き合わなかったかな


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「遥輝さんのこと…避け続けてごめんなさい」
7「あー…あれは確かに傷ついたわぁ」
「う、ほんとにごめんなさい」
7「でも、俺もAちゃんのとこ、自分から話しに行けへんかったし」
「……」
7「これでもう、仲直り、やな？」
「…はい。遥輝さんと…もっとお話したいです」
7「はは、今日は素直やな」
「だって、ずっとモヤモヤしてて」


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さっきまで、少し固い表情だった遥輝さんが
いつものくしゃってした笑顔で
私の髪をわしゃわしゃ撫でてくれるから、安心して
もう…涙出てきちゃった


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7「泣くな泣くな。ほれ、タオル」
「ありがとうございます…うぅ」


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遥輝さんのいい匂いがするタオルに
ぼふっと顔を埋めると
なんだか、もっと安心して、心が緩んで
メイク崩れちゃうな、ぐちゃぐちゃだな
なんて思いながらも、まだ幼い私は、わんわん泣くことしか出来なかった


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「…そだ、遥輝さん」
7「お、泣き止んだやん」
「あの時の、キス」
7「…おう」
「無かったことにしてください」
7「…いや、それは無理やな」
「…へ？」
7「無かったことには、出来へんわ」


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「…なんで、ですか」
7「…Aちゃん、ほんまに鈍いんやな」
「は…？」
7「じゃ、塗り替えさせてくれん？」


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偶然があかんなら
必然はええやろ？


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遥輝さんの整った顔が近付いてきて
…分かっていたけど、耐えられなくなって
ぎゅっと瞳を閉じたら
ふわ、と触れた 遥輝さんの唇


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(…事故じゃない、ほんとの、キス)


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7「…Aが、好きや」

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