球団職員に花束を。

□.39 事故なんです ページ40

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事故、だったんです



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7「おーいお嬢さん」
「なーにうるさい関西人」
7「ん。」
「なんっすか」
7「アイシングよろしゅう〜」
「嫌です。忙しいんで」
7「何もしてへんやろ(笑)」


ほらほらつべこべ言わずに、と
遥輝さんに引っ張られ、アイシングをすることに

(この人、いっつも強引だ)



7「なぁなぁ、俺の誕生日ケーキはないん？」
「遥輝さんには作ってやんない」
7「大将にはあんだけ愛込めたんに？」
「日頃の行いです」


私のほっぺで遊んで
「パンダみたいや〜」って言ったり
ちびや、ちびやってからかってきたり
書類の上に小林ゴキ美ちゃん(私が誠司くんに貰ったやつ)置いてきたり

ええい、死んでも祝ってやんない



7「素直やないなぁ」
「さいっこうに素直ですけど」
7「ほんまに？」


にやにやにや〜って笑う遥輝さんを
いつもより強く睨んで見せたけど
彼には影響なんてないようで

むしろ「睨んでも可愛ええなぁ」
なんておちゃらけられる始末


(あっかんべ)


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「はい。終わったんで早く行ってください」
7「冷たいなぁ」
「遥輝さんだけです」


ほら、早く早くと諭せば
あんがとな〜って私の髪をわしゃわしゃする遥輝さん
私はぶすっとした顔のまんま、です。いつも通りだ。



7「じゃ、俺城石さんとこ行ってくるわ」
「はいはい、行ってらっしゃい……わっ」



遥輝さんを送り出そうと(追い出そうと？)
背中を押そうとすれば

(あれ？)

なんでだろ

身体がぐらりと傾いて
分かったことは
つるつるの芝に滑って…転ぶんだ、ってこと

怖くなって、目を強く閉じた…けど


(……あれ、れ？)


転んだ、はず…なのに
痛くないぞ

ってか、この柔らかい感触
まさか…と思って
ゆっくり目を開くと





「んむ、」
7「…は、」





目の前には遥輝さんの整った顔が
至近距離で私の視界にあって
倒れ込んだ私の下敷きになった遥輝さん
咄嗟に庇ってくれたんだろうけど

柔らかい感触は…唇にあって




(…私、遥輝さんとキスしちゃった…)




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7「…Aちゃ、」
「っ、ごめんなさい遥輝さん、！」


遥輝さんと目なんて合わせられなくて
勢いだけで、そのまま逃げ出してしまった

だって、だって、だって
私と遥輝さんの唇は
確かに重なってて


あの瞬間に
気づいちゃった
気づいちゃったんだもん



(…バカ…)




遥輝さんなんて
遥輝さんなんてやっぱり。


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(もうどうすればいいんだ、)
7(やばいやばい)

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