球団職員に花束を。

□.30 理由というよりは (side松本) ページ31

□.side 松本剛

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「おまじないです」


そう言って遥輝さんの手を
きゅっと握ったA



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8「剛？おーい剛？」
12「へ？あぁ、こんちゃんか」
8「このドリンク、くれる？」
12「あぁ…うん、いいよ」



こんちゃんにポカリを手渡す
ありがと、と言いつつがぶ飲みしたこんちゃん
お腹壊さないようにね


そのまま遥輝さんとAの方に視線を向ければ
Aは少し唇を尖らせて「特別ですよ」って
遥輝さんはなんか…幸せいっぱいな顔で悶えてて




(羨ましいなぁ…なんて、)



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8「剛はさ、Aのどこに惹かれたの？」



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ドリンクを床に置いたこんちゃんに肘で小突かれる

Aのどこに惹かれた？
うーん、それは…
って、



12「なんで突然そんなこと聞くの」
8「剛がAのこと好きなのなんてバレバレだよ」


少なくとも同期の俺には、な？



12「……」



誰にも一言も言ってなかったのに
こんちゃんには、お見通しか

いや、それにしても恥ずかしいな
僕だって自分の気持ちに気づいたのは、最近なのに
こんちゃんのことだからもしかして
僕より先に気づいてたのかも


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8「上沢も気づいてるぞ」
12「マジですか」


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僕がAに惹かれた理由
…理由って、言うのかな



12「単純に、一目惚れだったんだよね」
8「うお、マジか」



飛行機で出会ったひとりの女性
最初は僕を警戒？する感じでガチガチだったけど
話していくうちに 打ち解けて
屈託のない笑顔を 見せてくれるようになって

多分、その笑顔に惹かれたんだと思う

だから、ファイターズで働くって聞いた時は
心底びっくりした


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12「…これ、試合直前に話すことかな」
8「まあまあ、いいじゃんか」


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8「ライバルいっぱいだよな」
12「…やっぱり？」
8「でも、俺は同期として剛を応援するよ」
12「ありがと、」


僕の背中を叩いて
ちょっと飯食ってくる〜とこんちゃん

あれ？さっきもおにぎり食べてなかったっけ
(Aがこしらえたやつ)


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12(…ライバル…かぁ、)


そりゃ、いっぱいですよね


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「剛くん！」


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12「なぁに、A」


悶々としてたら
てとてとと歩いてくるA

相変わらず小さくて可愛い
小動物で例えたら、子犬かな



「剛くん、手出して」
12「え？…うん」


言われるまま右手を差し出せば

Aは遥輝さんにしたみたいに
僕の手を握った

ふんわりと、包むように優しく








8(よし、いい感じだ)
30(こんちゃん何してるの)

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