密かな、予感は side目黒蓮 ページ15
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違和感は、正直あった
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｢背中に大きな傷があるから｣って
腹筋太鼓の時も、それ以外の時も、サラシを外さなかったとこ
俺たちと絶対一緒に風呂に入らなかったとこ
着替えも俺たちより絶対先に済ませるとこ
男にしてはあまりにも小さな手
小さな肩幅に、細すぎる身体の線や
女心を分かりすぎているとこだって
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消えてしまいそうな儚いオーラが滲み出る人だって思ったのも
全部、全部、全部＿＿＿＿
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岩｢Aは？｣
目｢過労だって、まだ寝てる｣
岩｢ギリギリまで、よく今日の公演乗り切ったな｣
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お疲れ、って岩本くんはAの頭を撫でる
愛おしいって思ってるのが、表情と手つきから伝わる
小さくて可愛い、ってAを愛でまくってる岩本くんと
岩本くんのあらゆる言動を愛でまくってるA
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岩｢俺着替えてくるけど、目黒は？｣
目｢うん、後で行く｣
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岩本くんが部屋から出て、また2人きりになると
無性にAのことを抱き締めたくなった
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目｢女なら、俺にくらい話せよ………｣
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汗だくで倒れたAの衣装を脱がせば
いつものサラシが巻かれていて
湿ったそれを剥がせば、背中には大きな傷跡
俺たち男と違って、身体はふわりと柔らかかった
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俺は、Aの秘密を知ってしまった
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｢……あれ、｣
目｢おはよ｣
｢何で私、寝てるの…？｣
目｢舞台裏で倒れたんだよ｣
｢倒れた…！？｣
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嘘だ、全然元気なんだけどって言うAは、きっと強がってる
あと、自分じゃ気づいてないかも知れないけど
『私』って、もう言っちゃってるんだよな
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｢めめ、ここまで運んでくれたの…？｣
目｢うん、A軽すぎだって｣
｢……じゃあ、気付いちゃった？｣
目｢……うん、｣
｢……そっかぁ、｣
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乾いた笑いが部屋に響いたけど
Aの声と背中は震えてて
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｢めめ、ごめ、｣
目｢謝るな｣
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Aが全部言い切る前に、きつく抱き締めた
ずっとこうしたかったなんて思う気持ちは
絶対、おかしくなんてなかった
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" めめが辛い時は、絶対俺が抱き締めるから "
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目｢A、大丈夫だから｣
｢……うん、｣
目｢俺が受け入れる｣
｢……うん、｣
目｢隠すの、辛かったでしょ｣
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小さく頷いたAは、滝沢歌舞伎の千秋楽を迎えたら
メンバーに秘密を打ち明けることを、滝沢くんに、俺に誓った
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作者名：凛
| 作者ホームページ：https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時：2022年4月13日 0時
