ディアーマイラヴァー【山田哲人】その2

57愛 ページ9

side◎山田哲人

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慎吾さんの隣で、考え事をしてた



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緑が綺麗やなー、目に優しいなー
あ、川が流れとる。久しぶりにひと泳ぎしたいなー
なんて、窓の外を眺めつつ思うのは
どうしてもあいつのこと…Aのこと


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『俺にもしてよ』

『また会おうね、約束』


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いや…正確に言えばAwith誠也のこと
Aが、自分に飲めない酒を無理に飲ませようとしてきた相手と仲睦まじそうに手を組んで…
挙句の果てにはキスしとったってことが事案な訳で

(まあほっぺたやけどな！ほっぺ！)


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気付けばあんなにカップルみたいになっとって
結構お似合いやったなぁ…や、なくてだね

なんでAは、自分を貶めようとした相手と
あんなにキャッキャウフフしとったん？
なんで誠也は、あんなことしたAのとこ
わざわざ訪ねたん？


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(あぁもう……ますます謎やぁ)


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考えれば考えるほど分からんくなるあいつらのこと
誠也はAのことが気に入ったんか？
それとも、逆にAが誠也のことを……？

いやいや、慎吾さんにあんなこと言ったAが
わざわざ自分からプロ野球選手に近付こうとはせんとは思うんやけど


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『お兄ちゃん、同僚の人とか…関係者の人には
私…Aっていう、もう1人の妹がいることは
なるべく言わないで欲しいの』


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ヤクルトに入って間もない頃、慎吾さんはそうAに言われたらしくて
だからプロ野球選手の妹であるにも関わらず、Aと交友がある選手は慎吾さんを除いて俺、青木さん、それと勇人さんくらい


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まぁ、勇人さんは3年くらい前に1回一緒に飯行っただけやし、交友…って程でもないかもやけど


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明るくて、正に愛されるために生まれたようなAが、どうして慎吾さんにそう言ったのかは分からん
唯一、青木さんとは仲良くなったのだって
慎吾さんと一緒にいるのを見られたから、らしいし


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まぁ、"川端慎吾の妹"って肩書きがあるとは言え
Aが選手の前に出てきてたら
確実に引く手数多やったなとは思うから
片想い中の俺からしたら安心ではあるし
まだ俺の家にいてくれるのだって嬉しいんやけど


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(…そろそろ、理由も聞いてええ頃やと思うけどな)


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｢山田落ち込むなよ
Aがそいつとデキとるとは限らんやろ｣

｢……えっ｣

｢あっ｣

｢…気付いてたんすか慎吾さん｣

｢…何のことかなー｣



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ちょっと慎吾さん、今のは聞き捨てならへんで！！


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