89愛 ページ41
side◎You
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ずっと奥に、奥に、しまい込んでた
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「A、ちゃん……やろ?」
「勇人さん………」
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どうして急にいなくなったん?
どうして誰にも言わなかったん?
どこで何しとったん?
今、どこに住んどるん?
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なんで、3年前のあの日、来なかったん?
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彼は私に聞きたいこと、いっぱいあるはずなのに
何も言わず、おもむろに近付いてくる
瞳が潤んでるように見えるのは
白く光る街灯のせいなのか、違うのか
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眉を歪めて、唇を噛んで
勇人さんは、私に覆いかぶさって
力いっぱい抱き寄せた
厚い胸板、逞しく鍛え上げられた腕に締め付けられて、潰れてしまいそうだ
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耳元に唇を寄せられて
勇人さんの少し荒い呼吸が直に聞こえる
胸の鼓動が手に取るように分かって
このまま全てが飲み込まれてしまうんじゃないかと思うくらいだった
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『次の一週間の遠征終わったら、会わへん?』
『会いたいです…!私も、勇人さんに会いたい』
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「ほんま……会えてよかったわ」
「………もう、会うことないって思ってました」
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見上げてみれば、勇人さんに『アホ』って
コツンとおでこを小突かれた
約束を破った私を責めることもせず
困ったように、ただ私を見て笑ってくれた
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安心したのか、心が緩んだ私が
そっと両手で顔を隠せば
勇人さんは『手、どけて』って、少し低い声
素直にそっと手を退ければ
奥が光った勇人さんの瞳と視線が交わって
されるがまま、唇を奪われた
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「帰す気なんてないの、分かるやろ…な?」
「私も、" 今日は "…どこにも行きません」
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勇人さんと一緒にいる
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横浜で一番の高級なホテルに連れて行かれた
抜かりないな、でもこれも坂本勇人なんだと思った
着くまではずっと、手を繋がれていた
少し目配せすれば、『逃がさへん』って
目で訴えられる……逃げるはず、ないのに
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「ふぅ……んっ…あんっ、」
「……綺麗や、」
「勇人さ……っ」
「ずっと、こうしたかった……」
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豪華なアメニティや施設を楽しむ隙もなく
部屋に入った途端、壁に押し付けられて
もう一度唇を奪われた
こんな表情の勇人さん、初めて見た
これ以上ないくらい苦しそうで
それでいて艶っぽいなんて
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勇人さんに力任せにされることが心地よくて
彼を受け入れることしか頭になかった
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「ベッド………行こ、」
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あの日のコスメもワンピースも
私には、必要なかった
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凛(プロフ) - みくさん» みくさんありがとうございます◎更新分読んでくださったんですね!嬉しいです(^^)好きな子の前では弱気になってしまう哲人くんを書くのが私も楽しいです!是非最後までお付き合いお願いいたします〜! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 0a834158c2 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - mihoさん» mihoさんありがとうございます◎遅くなってごめんなさい!!この2人を書くのはとっても楽しいので完結までお付き合い是非お願いいたします〜! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 0a834158c2 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - かっぱさん» かっぱさんありがとうございます◎ゆっくり更新になってしまいますが、2人の関係をこれからも楽しく書いていきますのでよろしくお願いいたします(^^) (2021年1月25日 20時) (レス) id: 0a834158c2 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 更新されるのを楽しみに待っていたので、連日の更新でまた凛さんのお話が読めて、とても嬉しいです☆哲人くんとの関係性がどう進んでいくのか、読みながらドキドキしながら、そして哲人くんの少し弱気になるところもどれも素敵で続きが気になります! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 99fb4a38f5 (このIDを非表示/違反報告)
miho(プロフ) - 待ってました!更新有難うございます! (2021年1月7日 14時) (レス) id: 42a1b7dd13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2019年6月30日 0時