72愛 ページ24
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ほろり、溶けていく、夏の夜に
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「もう、キャバクラで働くのなん、やめぇや」
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「……行かんやん」
「今更行っても、誠也くんいないし」
「まぁ、もし行ったとしても俺追っかけるで」
「…あのさ、さっきからなんなの?
私と誠也くんが店外で会ったらいけないの?」
「A、誠也のこと好きなん?」
「好きじゃない!誠也くんはただのお客さん。」
「でもあん時俺来んかったら、絶対ヤっとったやろ」
「大人の男と女だよ?何も無いことないわよ」
「でも好きじゃないんやろ」
「そうだよ?それの何がいけないの?」
「仕事のために、金のために好きでもない奴に抱かれようとしとったんやろAは。
そんなんあれやん……枕営業やん
1回始めたらもう戻れんくなるで?もうやめぇや」
「あーもう…なんで哲人に言われなあかんの?
私中学ん時から何回も彼氏変わってそれなりにたくさん経験しとるん、哲人も知っとるやろ?
それと同じだと思えば怖ないし
何よりお金貯めるためなら平気やの!お願いやからもう口出さんといて!」
「嫌や」
「哲人だって色んな女の子と遊んだりしとったやろ!?
今の私にはそれにお金のためって理由が付くだけ!
だからもうこれ以上はほっといて!」
「……絶対嫌や。」
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やっと振り返って私の顔を見た哲人は
まるで雨が降りそうな表情で
眉を歪めたまま、私に覆いかぶさった
哲人は私をぎゅっと、ぎゅうっと抱きしめた
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「…こんな所でスキンシップ」
「普通やろ」
「…慣れたもんだ」
「そもそも夜の仕事なんて危険だらけやん
Aに何かあったらって俺が気が気じゃないわ
大事な親友に危ない目にあって欲しくなんや、俺」
「…だからってやっていいことと悪いことがある」
「それは……ほんまごめん
感情任せに動き過ぎたわ、大人げなかった
慎吾さんも友紀さんも、Aに何かあったら心配するし二人のことなら怒るやろ
だから、もうやめぇや」
「…………」
「……まぁ、とりあえず帰ろうや」
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まだ納得出来ないというか、思う所はたくさんある
でも、とりあえず今は帰るしかないみたい
細い笑みを浮かべた哲人はタクシーを捕まえて、二人でそれに乗った…車の中では、お互い無言だった
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言葉のない20分を終えて哲人の家に着いた時
すぐには気づかなかったんだ
夜に紛れて、かの人がそこにいたことなんて
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「……勇人さん?」
「坂本さん……」
「Aちゃんに、会いに来た」
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凛(プロフ) - みくさん» みくさんありがとうございます◎更新分読んでくださったんですね!嬉しいです(^^)好きな子の前では弱気になってしまう哲人くんを書くのが私も楽しいです!是非最後までお付き合いお願いいたします〜! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 0a834158c2 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - mihoさん» mihoさんありがとうございます◎遅くなってごめんなさい!!この2人を書くのはとっても楽しいので完結までお付き合い是非お願いいたします〜! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 0a834158c2 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - かっぱさん» かっぱさんありがとうございます◎ゆっくり更新になってしまいますが、2人の関係をこれからも楽しく書いていきますのでよろしくお願いいたします(^^) (2021年1月25日 20時) (レス) id: 0a834158c2 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 更新されるのを楽しみに待っていたので、連日の更新でまた凛さんのお話が読めて、とても嬉しいです☆哲人くんとの関係性がどう進んでいくのか、読みながらドキドキしながら、そして哲人くんの少し弱気になるところもどれも素敵で続きが気になります! (2021年1月25日 20時) (レス) id: 99fb4a38f5 (このIDを非表示/違反報告)
miho(プロフ) - 待ってました!更新有難うございます! (2021年1月7日 14時) (レス) id: 42a1b7dd13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛 | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2019年6月30日 0時