ディアーマイラヴァー【山田哲人】その2

51愛 ページ3

side◎山田哲人
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怪しいもんやありません！



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(……来ちゃったわ)


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試合直後に来たから汗だく
長引いた試合やったから睡魔が襲うけど
それよりも心配なのがこっち


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普段なら絶対付けないサングラス
加えてジャージというダサい格好で来たから
傍から見た俺はきっと不審者…職質とかされんことを願う


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｢え？何あの大きな人｣

｢怪しい…｣

｢通報する？｣

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(いや通報だけは絶対止めて！！)


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俺が今おるのは
AがおるDEEPLE…の前の電柱の影


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思ったより、強アルコールを飲み干した翌日の俺の身体は元気で

昨日あんなことがあって
またAが客に嫌がらせとかされたりすることがあったらって心配になって
つい、ここまで来てしまった

(しかし、中に入る勇気は無い)


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プロに入ってから、マリカを始め
何人かと付き合ってはきたけど
ここまで自分から行動なんしたことなかったわ

あ…そういや俺、Aと付き合ってはないやん
ただの親友やん。そうやん、恋人未満やん。


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(これAにバレたら、終わりやな)


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カープの試合、今日は早めに終わったはず
もしかしたら誠也が来とるかもしれんと思って
勘ぐっては来たものの…大丈夫やろか


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｢あの男の人ずっといる…｣

｢キャバ嬢のストーカーか何か？｣

(…視線痛いなぁ〜……)


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普段とは反対のちくちくした目線を浴びながら待機
あ、そういや明日は朝から移動やん
当たり前やけどAはこっちに残る訳で
あーーもう！心配になるやんか！


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(夜になったら、何がなんでも電話したろ)


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悶々と髪を掻きつつ考えとったら
薄紫のネオンが光る店から出て来たのは


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(誠也と……A？)



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予感、的中。
ふたつのシルエットはどう見ても
俺がよく知っとるふたりのもので

仲睦まじそうに話すふたりの会話を聞こうと
俺はバレないようにそっと、声の聞こえそうなお店の木の影に移動した


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ん？あれ？
なんであんたら腕なんか組んでんねん


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ここから飛び出して
その腕同士を引き剥がしたい…と思ったけど

俺が野球を仕事にしとるように
Aは男達を喜ばせることが仕事や
そう思うと胸の衝動も収まって
同時にまた、形容しがたいやるせなさが襲った


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｢じゃあまた来てね、誠也くん｣

｢ん、友紀ちゃん｣

｢え？…あ、ふふっ。分かったぁ｣

｢俺にもしてよ｣

｢んっ…、また会おうね、約束｣


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Aが、誠也の頬にキスを落とした


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