ディアーマイラヴァー【山田哲人】その2

66愛 ページ18

side◎山田哲人

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小さな、違和感



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(おかしいな、確かこの間も)


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『お待ちどうさま！塩ラーメンふたつね！』

｢あざす……Aどしたん、顔色悪いで｣

｢うぅ……ごめん、ちょっとトイレ｣

｢え、大丈夫なん｣


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って言い終わる前に、Aはハンカチで口元を抑えて足早にトイレへ駆け込んで行った
大丈夫やなさそうなんやけど…

ってか……あれ？
そう言えばこの間も、こんなことあったよな？

ふたりでファミレスに行った時だって
いきなりトイレへと走り出したA


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(デジャヴや…あいつ、どっか身体悪いんかな)


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脳裏にこびりついて離れない違和感に頭を捻る
どうしたんやろ？


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様子を見に行こうと立ち上がろうとすれば
(女子トイレって入ったらあかんよな)
ピコン、って音と共に光るAの携帯

……興味本位、やった
俺は興味本位で、その携帯の液晶を見てしまった


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(…………は？)


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『Aちゃん！』

『明日試合終わり次第、駅前にAちゃん迎えにいくから！』

『待っとって！めっちゃ楽しみ(笑)』

『あと！明日の試合ホームラン打つから！』


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誠也、今もAと繋がっとったん？




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LINEの送り主は、誠也
何を隠そう、鈴木誠也で

あの時、誠也の頬にキスをしたAと
蕩けそうに微笑んでた誠也の姿がフラッシュバックする……つまり、ふたりはそういう関係なん？


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『大丈夫だよ哲人、私同伴もアフターもしないよ』


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前にAがそう言ってたのを思い出す
Aは、明日は仕事が休みっ言っとったし
それ以外に勤務時間外で会うということは
やっぱりAと誠也は、嬢と客以上の……


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｢…哲人？｣

｢うわっ！｣

｢なぁに、考え事？｣

｢あー……いや、Aこそ大丈夫なん？｣

｢全然大丈夫！トイレ行ったら治った！
……あ、LINE来てた？｣

｢……音なら、鳴っとったけど｣

｢そっか、分かった
伸びちゃうから食べよ！待っててくれてありがとね｣


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さっきの青ざめた顔はどこ行ったってくらいに
ケロッとしてて元気なAが俺の隣に座る
いただきまーす！と両手を合わせて
塩ラーメンを味わって頬張る姿はまるでリス


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｢哲人？伸びちゃうよ？｣

｢おん、食う食う｣


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Aの顔がまともに見れない
俺の知らないところで誠也と…と思うと
切ない気持ちで胸がいっぱいになる

これが片想いだ、改めて身に染みる
俺はなるべく考えないようにしてラーメンを啜った


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