44恋 ページ47
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私の世界を開いてくれてありがとう
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展覧会の会場を出て、私と誠知は夜の道を歩いた
木枯らしがふいて、少しだけ肌寒い
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「誠知のお陰で、私は今ここにいれるの」
「……ん、」
「夢、叶ったよ。
私の世界を開いてくれてありがとう。
だから…これからもよろしくね。」
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精一杯の感謝の気持ちを込めて
頭幾つ分か高い誠知を見上げて笑った
何だか…自分で話していて胸が熱くなったよ
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誠知は、もはや首まで赤く染まりそうな顔を
私から逸らしたまま小さく頷く
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「あとさ、今話しながら気づいたんだけど
私、小さい頃から誠知のこと追いかけたいって思ってたんだね」
「あー…言ってた」
「ってことはさ、私ってきっとその時から
誠知のこと好きだったってことだよね
好きじゃない人の背中、追いかけようなんて思わないもんね」
「……」
「あれ、また黙っちゃった」
「あのさ…そんな可愛いこと言われ続けたら
俺どうしたらいいかわかんないんだけど」
「わっ……」
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心なしか低い声とともに、強く引き寄せられる身体
私は誠知の胸の中に閉じ込められていた
誠知の甘い香りを、全身で受ける形になった私
きつく、きつく、縛り付けられるような感覚
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「誠知、ここ人前だから」
「……もう…無理だわ、俺」
「え…?」
「離したくない」
「…っ」
「離したくない、Aのこと」
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もう我慢出来ないって言う誠知の声が震えてる
誠知の厚い胸板が目の前にあって
周りが見えない。見えるのは誠知だけで
感じるのは彼の温かさと、速く刻まれた鼓動だけ
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(………この時を、信じてもいい?)
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「…誠知、私ね」
「…ん、」
「誠知がそう言ってくれるの、ずっと待ってたの
…私に魅力ないのかなって心配したりしたもん」
「ごめん、そういうんじゃなくて」
「分かってるよ。…大切にしてくれてありがとう」
「どれだけ一緒にいたと思ってんの
そんなの当たり前だから」
「だから…いいよ。誠知だから、いいよ。」
「…っ」
「……誠知が、いいの。」
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誠知の顔を見上げて微笑めば
誠知の熱い額が、私の額とこつんと重なった
彼の透き通った瞳に、吸い込まれそうになる
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「…いい?」
「いいよ」
「…じゃ、行こ」
「………うん、」
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ぎゅっと手を握られて、そのまま誠知の背中を追う
あの時よりもずっとずっと、大きくなった背中
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(…後戻り、しない)
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着いたのは、キラキラした高層のホテル
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時