29恋 ページ30
side◎間宮A
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早く、伝えたい
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だけど、私には
先に想いを伝えなきゃいけない人がいる
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「巨くん…っ」
「あれ、Aちゃんどうしたの
今日休みだったよね?」
「巨くんに、伝えたいことがあって」
「そっか…分かった」
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試合終わりで、車で帰ろうとした巨くんを
慌てて引き止めた
一瞬目を見開いて、ふっと笑った巨くんは
私を前の場所…星が見えるあの場所に連れ出した
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___「ごめんなさい。
巨くんの気持ちには応えられません」
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深く深く、頭を下げた
巨くんにはあんなに優しくしてもらったのに
何も返せない自分が不甲斐なくて、申し訳なくて
頭を上げることが出来ない
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「顔上げて、Aちゃん」
「巨くん…」
「大丈夫。…知ってたよ」
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巨くんの朧気な笑顔に、胸が痛くなる
こんなに心が広い巨くんに
私は苦しい思いをさせてしまってる
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だからこそ、肩に置かれた大きな手の温かさが
私の胸を締め付ける
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「ばやしのこと、好きなんだよね」
「…はい」
「ばやしもAちゃんのこと好きだって
見ててよく、分かった」
「……」
「分かってたけど…どうしても伝えたかったんだ
Aちゃんのこと、好きだって」
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「前に、ご飯行った時に
Aちゃんが撮った写真、見せてくれたよね」
「…はい」
「分かる?ばやしがホームラン打った時の写真
あれ、ドームの廊下に飾られてるよ」
「もちろん分かります…そう、なんですね」
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巨くんが言う写真…誠知がホームランを打った時の写真は、私の中でも印象深いもの
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ダイヤモンドを1周する誠知は
無表情だったけど…喜びに満ちてるのが分かった
誠知の心の底が表現出来た写真になったと思う
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「その他にも…Aちゃんが撮ったばやしの写真見て思ったんだ」
「…」
「練習中試合中問わず、写真の中のばやしの表情…
すごく生き生きしてるんだよね」
「…え?」
「Aちゃんの写真はどれも素敵だけど
ばやしのは特に…表情がキラキラしてるっていうか、とにかく格別なんだよ
あのばやしは、Aちゃんにしか撮れないと思う」
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お互いがお互いの、大切な存在だからこそ
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「ありがとう、Aちゃん」
「こちらこそです…っ」
「ばやしのとこ、行くだろ?」
「…はい」
「応援するから。行っておいで」
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綺麗に笑って、巨くんは私の背中を押す
2人の想いを乗せて
私は行かなきゃ行けない…誠知の、元へ
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時