ふわり、初恋【上林誠知】

27恋＊side芹沢まどか ページ28

side◎芹沢まどか

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"涙を秘めてこそ、星は輝く"


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彼に初めて会った日のこと
忘れられる訳ない
色濃く、私の脳に刻まれてる


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仕事で初めてインタビューをすることになって
緊張して、おどおどしてた私に
優しく声をかけてくれたのが上林くんだった


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「初めまして、っすよね」

「あっ…はい！」

「上林誠知です。新しく番組担当されるんすか？」

「はい…っ、芹沢まどか、です」

「俺に何でも聞いてくれて大丈夫なんで
よろしくお願いします」


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うっすら…だけど、優しく微笑んでくれて
私の緊張も解けて…
その日はリラックスして収録に臨むことが出来た


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同時に、その時から、確かに私は
上林くんに恋をしていたの


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「芹沢さん、あの時の返事…っすけど」

「もう、分かってます」

「言った方がいいっすか？」

「…誠知くんの口から聞きたいな」

「俺、やっぱりAしか考えられないっす
だから…気持ちには応えられない」


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すみません、って付け加えて
誠知くんは頭を下げる
…そういうとこよ
礼儀正しくて、真っ直ぐで優しい誠知くんを
私は好きになったの


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でも、仕方ないね
懸命なアプローチも空回りしちゃって
彼の大好きな女の子に怪我させようとしたんだから


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「間宮さんには、ちゃんと謝ります」

「あいつ優しいんで、きっと許してくれます」

「でも…私がしたことは許されないから
インタビュアーの担当、変わってもらいます」


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あの子に怪我を負わせようとした後
罪悪感で胸が押しつぶされそうで
同時に誠知くんにも合わせる顔がないって思った


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「…その必要、ないっす」

「え？」

「て言うか、変わらないでください」

「どういう、こと…？」

「俺、芹沢さんのインタビュー好きっす
だから…今まで通り、球場来てください」


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気まずいとか、そういうの無しで。お願いします。
誠知くんは…私に頭を下げた


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「…っ、いいんですか？」

「はい」

「ありがとうございます…！
それと、いっぱい迷惑かけてごめんなさい」

「…芹沢さんの気持ち、嬉しかったんでいいです」


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誠知くんは、初めて会った時と同じ笑顔を見せた
……きれいさっぱり、諦めよう。


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トレードマークのボブの髪型
誠知くんが"ショートが好き"と言ってたから
この髪型にしたけど


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"…A限定で好きっす"


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なんて、勝ち目はもう無かったね


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"上林くん"、ありがとう
大好きです。幸せになって。


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