ふわり、初恋【上林誠知】

01恋 ページ2

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シャッター音が、好きだ



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大きくて重みのある…黒く光るカメラ
初めて触れた時は、ドキドキして手が震えたっけ
落とさないかな？壊さないかな？って


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でも、そんなカメラさん、今は私の相棒
私の商売道具になった君とは、これからも
長いお付き合いをすることになりそうです


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……だって


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「おーい健太！こっちや！」

「うっす！」

「おしゃ、今日は調子いいぞ」


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ここはヤフオクドーム、試合前の練習中
フィールドを走る選手、マウンドに立つ選手
試合はもちろん、練習など…彼らの一瞬一瞬を収めるのが、私の仕事で


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"パシャリ"


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＿＿＿＿そう、私の職業はカメラマン
今年から、ホークス専属のカメラマンになったのです


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「……」

「わ、待って今シャッターチャンスだったのに」

「へっ」

「何よ鼻で笑って」

「……ざまあみろ」

「！！ ムカつく！！」


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ピントを合わせて、シャッターを押そうとしたら
ひょこっとレンズ越しに顔を出して…
私の仕事の、邪魔をする奴


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律儀にヘルメットまで取りやがって
んべ、ってポーカーフェイスのまま
舌を出して…あっかんべをした目の前の男
私の表情筋、今少し固まりました


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「画面いっぱいになんで誠知が…」

「お宝ショットじゃん」

「私にとってはお宝じゃないの！」


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もう、と頬を膨らませる私を見て
にたにた笑って…私に背を向けて手を振りながら去ってく背の高いアイツは


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「どんまい、A」

「誠知が邪魔したんじゃん、ばか！」


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上林誠知
福岡ソフトバンクホークスの外野手、背番号51


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そして……


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"せじくん、せじくん！"

"Aちゃん、遊ぼ？"


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私の"幼なじみ"、なのです



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(いつまで経っても変わらないなぁ、もう)

(A、あいつまた背ちっちゃくなったか？)



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