35恋 ページ36
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世界がそっと笑いかけてるような
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「すげぇ…」
「美味しそう…」
「……ん?」
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ぽつりと私が呟けば
誠知は少し間を開けて、私の方を見る
え、そんなにびっくりすることないのに
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「いや、これ食用じゃないし」
「えへ、つい」
「バカだろ」
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ふっと笑った誠知が
そのまま私の前髪を軽く撫でる
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付き合う前からこんな仕草は何回もされたけど
立場が変わって…恋人同士になった今となっては
何だか、くすぐったくて照れちゃう
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内川さんからナイトアクアリウムのチケットを頂いて、皆さんに背中を押されて
急遽デートをすることになった私たち
ドームから直行で、水族館に来ました
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「ねー、これ誠知に似てる」
「ん、どれ?」
「この子。スマって言うんだって」
「いやいや、似てるか?」
「なんか、しゅしゅってしてる感じが似てる」
「…この魚刺身にすると美味いって嘘だろ」
「美味しそう」
「ばか、やめろ」
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「Aはこれ、似てね?」
「えー?」
「てかAじゃんこれ」
「え、まさかのチンアナゴ」
「可愛いだろ」
「……悪くないかも」
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ふたり、ガラスに顔を近づけて
お互いの映った顔と目を合わせて笑う
横を見たら、誠知の綺麗な横顔が
赤紫色の光に照らされていて…悔しいけど、綺麗
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ゆったりした音楽が流れてて
青、ピンク…ネオン色の光が、暗い館内に溢れる
落ち着いた雰囲気のナイトアクアリウムには
カップルがたくさんいる。私たちと同じだ、なんて
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「もうちょっとおしゃれしてきたかったな」
「いいだろ、次で」
「でも、初デートだよ」
「今まで何回も出かけただろ、ふたりで」
「そうだけど…やっぱり特別だもん」
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誠知と、だから
幼馴染み以上に、大事な人になった誠知との
初めての"デート"、だから
そっと、誠知の広い背中に手で触れた
あまりに突然で、心の準備が出来ていなかったけど
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「…A」
「なぁに」
「1個いいっすか」
「どーぞ」
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「俺…きっとAが思ってる以上に
Aのこと、好きだわ」
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今、無償にそう思ったんだけど。
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「え、え?どうしたの急に
こっちの心の準備も出来てなかったよ」
「あー…タンマ。ごめん今の無し」
「それは無理!…ね、もう1回言ってよ」
「無理でーす。あー…恥っず」
「誠知、お願い!」
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誠知は口元を隠して下を向いて、私に背を向ける
私はその大きな背中を、ぽかぽかと叩く
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時