22恋 ページ23
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月が、綺麗ですね
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「ばやし、Aちゃん借りていい?」
「あ…はい、」
「ごめん、誠知」
「…」
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巨くんの背中について行きつつ誠知に謝れば
誠知は色の無い…本当の意味の無表情で
私と巨くんから背を向けた
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「巨くん…?」
「改めて、伝えたいことがあるんだ
…裏の階段のところに来て欲しい」
「…分かり、ました」
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背中を屈められて、そっと耳打ちをされて
ありがとうと微笑んだ巨くんと
裏の階段…高くて、福岡の夜景が一望できる綺麗な場所に足を運んだ
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「すっごい…知りませんでした、こんなに街がキラキラして見える場所があるなんて」
「Aちゃん、びっくりするだろうなって思ってさ」
「本当にびっくりです…!風、気持ちいいなぁ」
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ひとつ、背伸びをしてみれば
巨くんは眉毛を八の字に傾けて笑う
夜空に光る星も、輝く街も本当に綺麗で
またひとつ、福岡が好きになれた気がする
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「巨くん、白星おめでとうございます」
「見ててくれた?ありがとう」
「すっごく、かっこよかったです」
「それは、頑張ったかいがありました」
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「…話、なんだけどさ」
「? はい!」
「その……月が、綺麗ですね」
「……えっと、巨くん?」
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突然の夏目漱石(だっけ?)風の言葉に
ぽかーんと…呆気にとられる、私
それと同時に、巨くんのみるみる赤くなっていく顔が、月の光に照らされて分かった
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あー…ダメだ…って
右手で口元を覆いながら、がしがし髪をかいて下を向く巨くん
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「巨くん…どうしました?」
「ごめん、今の忘れて…」
「でも…照れる巨くん可愛かった」
「恥ずかしいなぁ…俺らしくもない」
「でも、突然どうしたんですか?」
「…仕切り直させて、貰っていい?」
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はぁ、とひとつ…マウンド上での仕草のように
深く息を吸い込んで、吐き出す巨くん
私を見据えて、捕らえたその目は
さっきとは違う…真っ直ぐで、真面目で
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巨くんにそっと、腰を抱かれて
気づけば…巨くんの胸の中に、引き寄せられていた
心臓が、大きく音を立てて跳ねる
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「…巨くん?」
「やっぱり…自分の言葉で伝えたいな」
「…それ、は?」
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巨くんの心臓の鼓動が、伝わってくる
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「___好きだよ。
僕は…Aちゃんのことが、好きです。」
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腕に抱いた私を見下ろした巨くんと、視線が交わる
温かい声に乗った、彼からの告白に
私はびっくりして…声が、声が出せなかった
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凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん(´∀`)ついにです...!ここまでお付き合いくださってありがとうございます! (2018年11月11日 23時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - つ…遂に!! (2018年11月11日 23時) (レス) id: 03ef5bc57a (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - 澪さん» 澪さん◎ありがとうございます( ; ; )嬉しいコメントに私もキュンキュンしちゃいました(´▽`*)応援ありがとうございます! (2018年11月10日 14時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
澪(プロフ) - 突然のコメント失礼します。殿堂入りおめでとうございます!とてもキュンキュンしながら読ませていただいてます。これからも更新頑張って下さい! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 10f685532e (このIDを非表示/違反報告)
凛*.(プロフ) - リンさん» リンさん◎ありがとうございます!是非2人の行く末を見守ってください...! (2018年11月6日 7時) (レス) id: da5814e32d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:凛* | 作者ホームページ:https://twitter.com/j2hi_ve
作成日時:2018年9月18日 1時