ひとときのあいを【短編集】

□.杉谷拳士 ﾘｸｴｽﾄ(Twitter) ページ39

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未来を、描く



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「拳士、ポップコーン食べ過ぎだよ」

「俺塩味が好きなんだよねぇ」

「はいはい。映画、始まるよ」

「ういっす！」


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映画デート中の、私と拳士
私が見たい！って言って足を運んだ訳なのですが…


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そう言えば拳士、きっと恋愛映画とか興味ないよね…って今更思い返した私
映画が始まる直前の今、拳士は隣でポップコーンをポリポリ食べている


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「A、食べる？」

「あ、うん。ありがと」


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とは言え、どーぞって差し出されたお菓子を、結局頂いちゃうのは私なのだけど
(ポップコーン、好きだし)
拳士、映画始まる前に無くなっても知らないからね


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……なんて思いながら映画を見始めて
ラストシーンに差し掛かったところ
ヒロインがウエディングドレスを着て涙ぐむシーン


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(…ん？あれれ？)


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「……拳士？」

「A、何これすっごい感動なんだけど…！」

「もう(笑)拳士、ティッシュ」

「あぁありがと、ｽﾞﾋﾞｯ」


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私の隣で、私以上に号泣しながら
必死に目頭を抑える拳士…
私が渡したティッシュを受け取れば
2、3枚を取り出して目を抑えた


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「拳士、お客さんに迷惑にならないようにね」

「あ…うん、そうだね…ｽﾞﾋﾞｯ」


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変わらず、鼻をすする拳士
滅多に見られない拳士の涙に
思わず笑ってしまう、私がいた


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「レアだったなぁ拳士の号泣って」

「あー、感動したけどむっっちゃ恥ずかしい！」

「写真撮っときたかったなぁ」

「それは絶対やめてね！？」

「…拳士、私との結婚想像したでしょ」

「え！？！」


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いたずらに笑って見せて、拳士の顔を覗き込めば
拳士は顔を真っ赤にして…ずざざ、と勢いよく後ずさりをする
むぅ、そんなに驚かなくたっていいのに。


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「……A！」

「なによ」

「それ図星！ダメだった！？」

「……ダメな訳ないじゃん」


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嬉しいよ。
私との未来、思い描いてくれたなんて
嬉しくないわけ、ないじゃん。


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拳士はさっきの倍くらいに赤く染まった顔を
右手で隠して…左手で私を指さす
でも、目線は逸らしてて
どうやら私の方を、直視出来ないみたいで。


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「ね、拳士」

「ハイ…！！」

「プロポーズ、待ってるからね」

「あーーー待ってその笑顔にその言葉は反則、！」


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(お互いに、変わらぬ愛を与えよう)


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今よりもっと、輝かしい未来が訪れますように。


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(杉谷の目にも涙だ)

(何そのことわざみたいなの！)



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