124話 〃 side ページ35
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医務室に入ると奥のカーテンだけ閉められていて、そっと開けてみるとAが静かに眠っていた。
眠り姫を見つけた時の王子の気持ちはこんな感情だったのやろうか？なんて、明るい童話の王子がこんな黒くて重い感情を抱いているはずがない。
近くにあった机に持ってきた期限の近い書類を置いて作業を始める。自身の悪影響は国にも響くことを知っている俺は、彼女が心配で仕事に手が付かないと言っている暇などない。
むしろ目覚めた時に心配ではなく『よく頑張ったね』って褒めて欲しい。あわよくばご褒美とかええなぁ、なんて童帝臭い妄想を膨らませていると奥の方から声が聞こえてくる。
起きたんかなと思いコップを片手にカーテンを開けると、Aは起きたのではなく魘されていた。
か細い声で『たすけて…』と言われて、震えた手を伸ばされたら掴むしかないだろう。肩を揺さぶって彼女の名前を呼べば、少し濡れた瞳をゆっくりと開けて驚いたようにこちらを見ていた。
久しぶりにその蜂蜜色の瞳と目が合い、一瞬で身体中に熱が集まる。落ち着け、今のAは俺のことを知らんのや。いつもの様に落ち着いて行こう。
そう思っていたのに彼女に水と間違えて飲みかけの珈琲を渡したり、話聞くよと言った声はみっともない程に震えていて頭を抱え込みたくなった。
恥ずかしくて逃げたくなったが、目を逸らさずにいたのは今のAは消えそうなほど儚い雰囲気を纏っていたからだ。
出会った頃からそんな雰囲気はあったが今は特にそうで、ふと逸らした隙に消えてしまいそうだった。
そんな俺はあほみたいなことを言った。二人で逃げようって。
俺の立場的にも、Aの現状を見ても逃げることなんて出来るはずがない。知ってるよ、だけど、好きな子を繋ぎ止めるために夢を持たせることくらいさせてくれてもバチは当たらんちゃうかな。
彼女からしたら初対面でかっこ悪い所しか見せてない上に叶うはずのない話を熱く語り始める変な男になっているはずなのに、なんでそんな顔をするんや。
一緒やんけ、あの頃と。俺が大好きな笑顔を浮かべてるんよ。
胸が締め付けられ、撫でたくなる衝動を抑えながらAに声をかけると帰ってきた言葉に俺の頭は思考停止をした。
�燹悗發掘�愛の逃避行するってなって、叶うことならトントンさんとしたいです。』��
好きでもない男に期待させるようなことを言わんでや、という言葉を飲み込んで曖昧に微笑んだ。
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小手鞠(プロフ) - wrwrメンバー尊すぎて一気読みしました、めちゃくちゃ面白いです……！無理のないペースで更新していただけたら幸いです。応援しています！ (2021年6月9日 22時) (
レス) id: 99c881a30b (このIDを非表示/違反報告)
案山子の色@Adomi-k - 最近来れてなかったですけど相変わらず神過ぎですね好きです((((snさん…そんなこと思ってたんですか()ヤバイ尊い(場違い)あー今後の展開気になrグフッ(吐血) (2021年6月1日 6時) (レス) id: cd28fe05cb (このIDを非表示/違反報告)
egao(えがお)(プロフ) - 久しぶりの更新！待ってsnさん、そんなこと思ってたのね。ほんとに無理 好き。 (2021年5月23日 21時) (レス) id: 3e3460a7ff (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 面白くて一気読みしました!!!めっっっっっっっっちゃ続きが気になる(≧◇≦)投稿楽しみに待っています!!!!!頑張ってください。 (2021年4月28日 16時) (レス) id: d339aa15a0 (このIDを非表示/違反報告)
egao(えがお)(プロフ) - えtえt展開ｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)━!記憶ないは記憶ないでえtえtさが出てて好き(変態)でもなぁ、早く記憶戻って欲しい気持ちもある。これからが楽しみ！まる姉これからも頑張ってください！ (2021年4月19日 7時) (レス) id: 3e3460a7ff (このIDを非表示/違反報告)
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