122話 ページ33
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tn「話、聞くことは出来るけど」
聞こえてきた声は想像していたより随分と震えていた。パッと顔を上げると耳を赤くしたトントンさんが居て、紅い瞳はこちらを捉えて逸らすことなく見つめている。
こんな私のために、真剣に話を聞こうとしてくれている。今は貴方の好きな私ではないのに。優しい人だ。
『…最近、分からないんですよね。』
tn「分からない？」
『えぇ。前の記憶を思い出したくない自分と、思い出してって願う自分が葛藤してるんです。ぴくとからかけられた魔法が強いのもあって余計苦しんでて…』
彼はその話を聞いて何も言うことなく黙り込んでいた。さすがに忘れられた張本人にする話ではなかったか、そう思い謝ろうとすると割り込むようにトントンさんの口が開く。
tn「うーん、そうやな……それじゃあ、俺と二人で逃げる？」
『……は？』
tn「ぴくとさんとかあいつらとか色んな人が絡むから面倒くさいことになるんや。だったら今のうちに二人だけで遠い国に行って一生を過ごすのもええんちゃう？」
『いやいやいや、書記長様の貴方が何を言い出すんですか。それに遠くに逃げたって…』
tn「今はそんなこと考えたらあかん。想像してみ？この国の東にはひとらんの故郷でもあるニホンっていう島国があるらしいで。」
『ニホン……春に咲くサクラが綺麗だという話なら聞いたことがありますね。』
tn「ええやんええやん！出店で買ったものを食べ歩きながらサクラを眺める。考えるだけでワクワクせえへん？」
叶うはずのない理想の話。彼は立場上一番理解しているはずなのに、話している時の瞳はキラキラしていてマシンガントークは止まることなく続いている。
言われた通りに想像してみた。軍服ではなくゆったりとした浴衣を着たトントンさんが隣にいて、賑わっている和風の通りを歩いている。
サクラは見たことがないから分かんないけど、散り際は桜色が一層色濃くなってひらひらと花弁が一枚ずつ風にのって散っていくらしい。ぜひこの目で見てみたいな、と思ってしまい首を振る。
tn「その顔は…少しは気持ちが安らいだ？」
『はい、忙しいのにお話に付き合ってくださってありがとうございました。…もし、愛の逃避行するってなって、叶うことならトントンさんとしたいです。』
tn「……あほ、軽々しく言うもんちゃうで」
そう言ったトントンさんの顔は、なにかを隠すように作り笑いを浮かべていた。
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小手鞠(プロフ) - wrwrメンバー尊すぎて一気読みしました、めちゃくちゃ面白いです……！無理のないペースで更新していただけたら幸いです。応援しています！ (2021年6月9日 22時) (
レス) id: 99c881a30b (このIDを非表示/違反報告)
案山子の色@Adomi-k - 最近来れてなかったですけど相変わらず神過ぎですね好きです((((snさん…そんなこと思ってたんですか()ヤバイ尊い(場違い)あー今後の展開気になrグフッ(吐血) (2021年6月1日 6時) (レス) id: cd28fe05cb (このIDを非表示/違反報告)
egao(えがお)(プロフ) - 久しぶりの更新！待ってsnさん、そんなこと思ってたのね。ほんとに無理 好き。 (2021年5月23日 21時) (レス) id: 3e3460a7ff (このIDを非表示/違反報告)
紅茶 - 面白くて一気読みしました!!!めっっっっっっっっちゃ続きが気になる(≧◇≦)投稿楽しみに待っています!!!!!頑張ってください。 (2021年4月28日 16時) (レス) id: d339aa15a0 (このIDを非表示/違反報告)
egao(えがお)(プロフ) - えtえt展開ｷﾀ━(ﾟ∀ﾟ)━!記憶ないは記憶ないでえtえtさが出てて好き(変態)でもなぁ、早く記憶戻って欲しい気持ちもある。これからが楽しみ！まる姉これからも頑張ってください！ (2021年4月19日 7時) (レス) id: 3e3460a7ff (このIDを非表示/違反報告)
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