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サクラ side
心の中では分かっている。
彼がここに来ない理由は
"結婚"したからだ。
この町で1番有名な彼の結婚は
瞬く間に町中に広まって
街の中ではお祝いが続いている。
一度だけ街で彼の結婚相手の方を見た。
とても綺麗で
大人しく、優しそうで
気品に溢れた素敵な方だった。
私とは大違いね
毎日、水や火に触れてボロボロの手に
顔色を隠すために厚めに塗った白粉。
着物だって、人から頂いたお下がりで
所々、縫い直してあるし
それでも、貴方が私を好きだと言ってくれたから
桜の木の下で待っていてと言ったから
私は今日も小さな丘の上にある
桜の木を目指す。
もちろん彼が来ない事は分かっている。
それでも、私は私の為に
桜の木の下で待っている。
いつか、私の命の火が燃え尽きる時は
貴方といつも会っていた
この桜の木の下で眠りたいもの。
「リョウスケさん。今日は、一段と街が賑やかですね？皆さん、優しい貴方のことが好きだから、お祝いしたいのですよ？私もお祝いしたいのに、コソコソとこんな所に逃げてきて、私は意地汚いのです。だって、まだ最期に貴方に逢いたいだなんて思ってる。」
桜の木に向かって話かける。
貴方にはきっと届かないけど
貴方と一緒に居るみたい。
「リョウスケさん。この前、貴方によく似た人に会いました。貴方に似てとても素敵な人でした。その人が、不思議な話をしていたの。私によく似た人を知っていると。どんな人かしら、私に似てお喋りかもしれないわね！
…でも、もしその話が本当であるのなら、もう一度、私は貴方に逢えるかしら？
違う世界で、貴方の側に居る事が出来るかしら？」
ポロポロと流れる雫は
桜の木の根に染みていく。
貴方と過ごした日々は
どれもかけがえのない宝物。
人生で1番幸せな時間だった。
だから、もし貴方が私を少しでも想ってくれていたら
違う世界の何処かで貴方に逢いたい。
桜の木に寄りかかりながら
「リョウスケさん。ここに来るのも今日が最期かもしれません。もう、この小さな丘を登る事もやっとで、息もうまく吸えなくて、身体も動かないし、とても眠いのです。だから最期にこれだけは、貴方に伝えておきます。"どうか幸せになってください"」
胸が苦しい。
これは、火が燃え尽きる前だからかしら？
それとも、貴方のことを今でも想ってるからかしら？
身体も凄く重たいし
少しだけ休もうかしら？
桜の木の下で静かに火が燃え尽きていく。
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Winter(プロフ) - めぐみみさん» 初めまして！コメントありがとうございます。あべさくの話を気に入ってもらえたみたいで嬉しいです！次回は移行するので少し更新が遅くなるかと思いますが、今後もよろしくお願いします！ (2021年6月28日 23時) (
レス) id: 5bab791344 (このIDを非表示/違反報告)
めぐみみ(プロフ) - 初めまして。あべさくのお話のみですが、読ませて頂きました。どのお話も素敵ですが、千年続く恋が最初は切なくて最後に幸せになるっていうところがすごく好きだなと思いました！更新するのは大変だと思いますが、これからも頑張って下さいね。 (2021年6月28日 21時) (レス) id: c5a5d8f319 (このIDを非表示/違反報告)
Winter(プロフ) - シナモン党のチュロスさん» 初めまして！コメントありがとうございます！いわふかって独特の雰囲気ありますよね！あれ、好きです！亀更新かもしれませんが、これからもよろしくお願いします！ (2021年1月22日 15時) (レス) id: 5bab791344 (このIDを非表示/違反報告)
シナモン党のチュロス(プロフ) - 今回もいわふか最高です！今回初コメだと思うんですけど、なかなかコメントをしなくてすみません_(..)_ でも毎回読むたび面白いです！これからも頑張ってください。応援してます！ (2021年1月22日 12時) (レス) id: 0a35a9288e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：winter | 作成日時：2021年1月21日 22時
