19-1 穴が開きそう ページ41
食事の準備が整い、テーブルにつく二人。
テヒョンが椅子を引いてチカを席に座らせる。
チカ「ありがとう」
テヒョンがグラスにワインを注ぐ。
チカは、テヒョンの一つ一つの動作をずっと目で追っている。
テヒョンは、その視線を意識して少しかっこつけて椅子に座る。
チカ「ふふっ。私の彼は、何やっても素敵だね」
TH「そう？」
ニヤけるテヒョン。
グラスを手に乾杯する二人。
グラスのぶつかる音が心地よい。
ワインを一口飲んで、グラスをテーブルに置くと、チカは幸せそうにじっとテヒョンを見つめている。
TH「ヌナ、そんなに見つめられたら穴が開きそうだよ」
チカ「ふふっ、テヒョンだっていつも私のことじっと見てるでしょ」
TH「穴、空いちゃった？」
チカ「ふふふっ、大丈夫」
食事が終わる頃、窓の外にはソウルの街の夜景が広がっていた。
二人はソファに移動して、ワインを飲んでいた。
チカ「そんなに飲んで大丈夫？」
TH「ヌナこそ、ちゃんと歩いて帰れる？」
チカ「ふふふ、テヒョンにおんぶしてもらうから、大丈夫」
TH「いいよ…。僕が酔ってなかったらね」
チカ「えぇ、私達、今日中に帰れるかな？」
TH「さぁ？」
肩をすくめるテヒョン。
チカ「ねぇ、お願いがあるの」
TH「なに？」
チカ「テヒョンの歌が聴きたいな」
TH「いいよ。何がいいの？」
チカ「あのね、blue & grayの最初のとこ、聴きたいな」
テヒョンは、ソファの背もたれに肘をつき、チカの方に身体を向ける。
そして、静かに歌い始める。
目を閉じて聴き入っているチカの頬に涙が一筋つたう。
TH「どうして泣くの？」
チカ「テヒョンの声が大好きだから…感動しちゃった」
テヒョンは、チカをぎゅっと抱きしめた。
チカ「…眠れない夜はいつもこの曲を聴くの。最後にテヒョンが " おやすみ "って言うでしよ。それを聴くとなんだか安心して眠れるから」
TH「うん…」
テヒョンは、その言葉にグッと来てしまい何も言えなくなる。
チカ「ねぇ、苺食べる？」
静かになってしまった空気を変えようと、チカがデザートの苺をテヒョンにすすめる。
TH「うん」
チカがテヒョンに苺を食べさせる。
チカ「苺、好きだね」
TH「うん、ヌナの次に好きかな、ヒヒっ」
チカは、照れ臭くて手で顔を覆い指の隙間からテヒョンの顔を見た。
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作者名：happiness | 作成日時：2022年1月12日 0時
