3-6 涙の理由 ページ29
その美しい瞳が自分を見つめている。
どんな女の子でもこの瞳に見つめられたら、身動きが取れなくなるだろう。
瞬きをするのも息をするのも忘れそうになる。
すると、ジョングクの唇がチカの唇に近づき、軽く触れた。
チカ(ダメだよ、ジョングク…、ダメなのに…)
心では拒否しているのに、身体には力がはいらず、身動きがとれない。
ジョングクの唇が何度も触れ、次第に深くなっていき思わずため息がもれる。
ジョングクの唇が離れ、ハッと我にかえるチカ。
一瞬にして、後悔と罪悪感でいっぱいになる。
さっと起き上がり、ジョングクに背を向け、しばらく、沈黙。
JK「ごめん…ヌナ」
チカ「あぁ、い、今のは事故みたいなものだよ。あの、明日の朝早いし、そろそろ部屋に戻る？明日の準備もしないと」
気まずさをごまかそうとして、必死に喋るチカ。
JK「ヌナ、驚かせてごめん。ちょっとだけ、落ち着いて」
そうなだめるジョングク。
チカ「…うん」
チカは、静かにうなずいた。
だが、ジョングクの顔を見ることは出来ない。
JK「やっぱり、僕、ヌナのことが好きみたい」
そう言われて、チカは目を閉じうつむいた。
チカ「…ジョングク、あのね…私、ほかに好きな人がいるの」
その言葉を聞いて、少しの間何も言えずに黙っているジョングク。
JK「…そうなんだ…。でも、僕は片思いでもいいよ。ヌナのことを好きでいたい」
世界中で人気のあるグループのメインボーカルが自分に片思いなんて、恐れ多い。
チカ「ジョングクが片思いだなんて…、ダメだよ。私なんかじゃなくて、もっと素敵な人が…」
ジョングクは、後ろからそっとチカを抱きしめる。
ジョングクに抱きしめられながら、頭の中にテヒョンの顔が浮かぶ。
テヒョンにだって、もっとふさわしい人がいるはずだ。
告白されて、浮かれていた自分を思い出すと、恥ずかしくて悲しくて涙がポロポロと溢れてきた。
JK「ヌナ…ごめん。泣かないで。なんでヌナが泣くんだよ」
フラれたのは自分なのに、チカの涙の理由が自分のせいだと思ったジョングクは、必死に謝る。
恋愛初心者には、こんな時はどうすればいいのやら、さっぱり分からない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 337人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：happiness | 作成日時：2022年1月10日 21時
