フォート・ワース最終日 ページ9
海外公演、3カ所目のフォート・ワースの最終日のことだった。
公演終了後、車へと移動するユンギとチカ。
「オッパ、肩、大丈夫？」
YG「あぁ、今日はそんなに痛くなかった」
近頃、左肩の具合が良くないユンギだが、今日はなんとかやり過ごせたようだった。
「そう…よかった」
次の公演地へ舞台の装置などを移動させる為、一部では、既に撤去作業が始まっていた。
荷物を運ぶ台車がすれ違ったり、ザワザワとする通路を通り抜けていく2人。
ホボムは他の6人を見送り、最後の車の出発を待っている。
HB「あとはユンギで終わりだな」
スケジュールを確認しながら、ユンギが現れるはずの方向を見る。
とその方向に急に人だかりが出来た。
HB「なんだ？」
じっと、見ていると、
「ホボムさんっ、来て下さいっ」
韓国のスタッフが大きな声でホボムを呼びつける。
駆けつけた先には、チカがユンギに支えられてうずくまっている。
HB「チカっ、どうしたっ！」
YG「チカが俺の下敷きになって…、あぁ、あれ、転がってきた資材で、俺が足を滑らせて後ろにいたチカがっ」
いつもは冷静なユンギが随分動揺していた。
チカ「…すみません、支えきれなくて…」
そう謝りながら、肩を押さえ顔をしかめるチカ。
HB「すぐ、医療チームを呼んでくれっ。ユンギ、お前は？」
YG「俺は、なんともない」
チカ「…よかった」
YG「よくないだろっ、俺のせいでお前が怪我したって言うのに」
チカ「オッパを守れたから、いいの。ツアーの最中にオッパが怪我なんてしたら、大変なことになっちゃうでしょ」
HB「チカの言う通りだ。ユンギ、怪我がないなら、お前は先にホテルに戻れ」
YG「何言ってるんだよ。俺が怪我させたのに放って帰れるわけないだろ」
痛みを堪えながら、笑ってみせるチカにユンギは複雑な思いだ。
HB「あぁ、気持ちは分かるけど、周りが混乱するだろ」
チカ「オッパ…、私のことはいいから」
YG「嫌だ」
結局、ユンギは一歩も譲ろうとせず、チカと一緒に現場に残った。
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作者名：happiness | 作成日時：2022年10月9日 21時
