鷹の広報ちゃん.5

初めての朝 ページ33

巨side



「…おはよ」

「お、はよう…ございます」

「目、覚めた？」

「…はい」

「恥ずかしがらないでよ。これから毎日一緒なのに」

「っ〜！」

「ゆっくり慣れていってくれたら嬉しいな」

「巨さんは…こういうの、慣れていますか？」

「え？」

「…私ばかり…緊張、してて」




不安です。と小さい声が届いた。
伝わってなかったのか…嬉しさが前面に出てたかな。


Aちゃんの小さな手を握って…自分の胸元に持っていく。




「な、巨さん！？」

「わかる？俺がドキドキしてるの」

「っ〜！」

「慣れてるわけないでしょ。
こんなに誰かを好きになったのも初めてだし…
一緒にいたいって思うのも、傍にいたいって思うのも、
大切にしたいって思うのも…Aちゃんが初めて」

「な、おさん…」

「俺だって毎日緊張してる。ドキドキしてるよ…」

「…」

「焦ってるところとか知られたくないから…隠してるけど。
カッコいいって思ってもらいたいし…変な所見せられない」

「…」

「…Aちゃん？」

「…」

「…固まった」



朝から少し喋りすぎたかも。
Aちゃんをフリーズさせてしまった。

そんな姿も可愛くて、もっといじめたくなる。
でも…そろそろ起きないと行けないからこの辺で。
それから２人で少し慌ただしく準備をする。

朝ごはんを作ってくれて、自分の準備をしつつ俺の準備も手伝ってくれる。
パタパタと走り回るAちゃんは本当に可愛い。



「Aちゃーん。そろそろ行くよー」

「はい！あ…ちょっと待ってください」

「え？あ…」




Aちゃんが荷物を玄関に置いて、自分の部屋に戻っていった。
なんか…予想がついたから俺も後をついていく。




「俺にも挨拶させて」

「な、巨さん！でも…」

「Aちゃんの大切な人に挨拶したい」

「っ…」




Aちゃんと…Aちゃんのおばあちゃんの写真を見る。
いつも家を出る前にAちゃんはおばあちゃんの写真に向かっていってきます。をするのが日課だった。

それは変わってないし、変えてほしくない。
できれば俺も一緒がいい。




「…おばあちゃん、行ってきます」

「Aちゃんの事は任せてください。
今度、ちゃんとご挨拶伺いますね。行ってきます」

「な、おさん…」

「行こう。遅れちゃう」

「っ、はい」



この前俺の大切な家族に会ってもらった。
だから…俺も、


(君の家族に会いたい)

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