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たどり着いた場所 ページ9

それから、巨さんに連れてきてもらったお店でご飯。
高そうなお店で…巨さんが目の前にいて…緊張して…
美味しかったのは覚えているけれど、
何を話していたかは覚えていない。



「巨さん、私も払いますっ」

「いいよ。これくらいさせて」

「…」

「そんな可愛い顔してもダメ。
カッコいい事させてよ」

「…いつもカッコいいのに」

「じゃあ、もう一つ付き合ってほしい所があるんだけど。
時間平気?」

「私は全然…巨さん運転大丈夫ですか?
お疲れじゃないですか?」

「Aちゃん運転してみる?」

「…高級車は…怖いです」

「はは!大丈夫。気にしてくれてありがとう」




そう言って、また巨さんの車に乗る。

どこに行くんですか?
と聞いても、楽しみにしててしか教えてもらえず…

なんだか、車の中ではお話がなかった。

それでも、なんでか居心地がよかった。
巨さんと一緒にいて緊張しているはずなのに…。




「え、ドーム…ですか?」

「そう。ドーム」

「練習ですか?」

「…この時間からはちょっと嫌かな」




ほら、降りて。
と巨さんに車のドアを開けてもらい、降りる。


疑問ばかりが残る頭を動かし、巨さんの後ろを歩いて、
ドームに入る。


夜だけど、電気は付いていて…
気がつけば、誰もいないベンチまで来ていた。


静まり返ったドーム。
怖いけど…なんだか、不思議と綺麗に見えた。




「誰もいないドームって不思議だね」

「そうですね」




ベンチに座る巨さん。
隣おいで、と言われて、お言葉に甘え、
巨さんの隣に座る。




「なんか、Aちゃんと初めて会った時の事、
思いだすな〜」

「…私、最初の頃は今以上にダメダメで…」

「そうかな?」

「はい…恥ずかしいくらい」

「…でも、俺はきっとこの子はホークスの事を
支えてくれる…素敵な子だって思ったよ」

「…巨さん?」

「初めてAちゃんを見たのは、
確かここからベンチで座りながら見てたな〜」

「…」

「たまたま朝早く行って…
ベンチでぼけっとしようかなって思ってたら…
俺より早く来ている人いたんだよ」

「私、ですか?」

「そう。誰もいないフィールドを写真に収めててさ…
本当に目を奪われた」

「え?」

「こんなに綺麗に泣く人がいるんだって…」

「私、泣いてましたか?」

「うん、何でかはわからないけど…
カメラから顔を離した時に涙流してた…」

「恥ずかしいです」

「でも、その涙を見て…
俺はAちゃんの事を好きになった」

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作者名:ゆき | 作成日時:2019年3月12日 17時

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