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知りたい ページ4

巨side



「…大丈夫?」

「…え?」

「いや、元気ないから…」

「…あ、そう言えば、今日お休みしていた理由、
ご存じなんでしたっけ?」



さっき、和子さんに教えてもらいました。
なんて笑う姿は…今にも、消えてしまいそうなくらい、
脆く…悲しいAちゃんだった。

見ているこっちが、辛くなってくる。


同じ目線になって、頭を撫でる。

さっきまで笑顔を保っていたAちゃんは、
一瞬にして目を涙で一杯にした。



「Aちゃん…」

「っ…やめてください」

「なにが?」

「そんな、優しい、声で…呼ばれたらっ」



泣いちゃうっ…そう言う、Aちゃんは、
既に涙を流して俯いていた。



「Aちゃん…」

「ご、めんなさいっ」




その言葉と同時にエレベーターの方から誰かの声がした。

俺は咄嗟に…


自分の部屋にAちゃんを引き入れた。



「な、おさんっ…」

「…大丈夫、大丈夫だよ」



そう言って、抱きしめて頭を撫でる。


俺は、何をしているのだろう。
今までだって慰めることはたくさんあった。

でも、こうやってホテルの部屋で…
泣いているAちゃんを抱きしめている。

何をしているんだろう…。

でも、今は…
Aちゃんを一人にしたくなかった。
1人で泣かせたくなかった…。

一緒に…いたかった。




その後、ゆっくりとAちゃんをベッドに座らせる。




「ごめんなさいっ…本当に、ごめんなさい」

「大丈夫だよ」

「巨さんに、迷惑ばっかりかけてっ」

「俺は迷惑って思ってない。
Aちゃんと一緒にいれて嬉しい」

「っ…」

「…ごめん、和子さんというか、
広報さんから…聞いた」

「本当に、すみません…」

「なんで謝るの?
俺は…自分勝手かもしれないけど、
Aちゃんの事を、知らない自分に腹が立った。
Aちゃんの事…知りたいって思った」

「っ…」

「今じゃなくてもいい。
ゆっくり、教えてほしい…Aちゃんの事」

「でも…」

「Aちゃんだから…知りたい」



知らないことをなくしたい。
何でも共有したい。
辛いことも楽しいことも。
過去も未来も。



「…今日、祖母の法事だったんです」

「うん…」



ゆっくりと、話てくれた。
震える声で…震えるからだ。


そんなAちゃんの手を…ギュッと握った。



「ずっと祖母と2人で暮らしてました」

「…」

「私…小学生の時に…
両親に、捨てられたんです」



君の過去に、今…触れます。

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作者名:ゆき | 作成日時:2019年3月12日 17時

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