１４３☆ ページ23
私がこんなだと蒼汰も前に進めないって事はわかってた。
だけど私が前に進むのが怖くて…
臆病なのを蒼汰のせいにし、色々な言い訳で隠して…。
そんな私に不器用ながらも真っ直ぐな気持ちでぶつかってきてくれた翔くん。
無意識に男の人とはどこか距離を取っていて、正直ダブルデートも憂鬱だった。
でもあの日の私はきっと心から笑えてたんだと気づいたら、それはもう恋の始まりで…。
あからさまな好意はその男性を避ける対象だったのに、翔くんの一生懸命さは嫌ではなくて…
私を裏切るなんて疑いは微塵も持てなかった。
「この先…もしまたAちゃんが色々な事で悩んで葛藤して進む道に迷った時が来たとして…。」
「うん…。」
「俺も一緒に迷うから。一緒に迷子になる。俺…こんなんだし…『助けてあげる』なんて烏滸がましくて言えないから…一緒に迷おう？そして一緒に出口を見つけよう？そういう男でありたいと思うし、そういう二人でありたい。」
あぁ…やっぱり…
私がこの人だって思った第六感は間違ってなかった…。
翔くんの気持ちの大きさとあったかさに胸がいっぱいになって苦しくなって涙となって溢れた。
「ずっと…そうやって寄り添いながら一緒にいたい…。」
そう苦しそうに吐き出した翔くんの声も震えてる。
「『高嶺の花子さん』じゃない…俺の腕の中にいるこのAちゃんが大好きだよ？」
翔くんの背中にしがみつくように抱きつくと、それに答えるように翔くんもキツく抱きしめてくれる。
「弟くんの同棲発言はまた変な男に付き纏われたらって心配と…Aちゃんを前に進ませるためだったんだね？自分の姉離れももしかしたら含まれてるのかもしれないけど…。」
私の方が姉だけど、あぁいう特殊な世界に高校生の頃からいる蒼汰の方が何倍も大人で兄みたい。
守ってるつもりがずっと守られてた…。
「私…甘えてばかりだ…。」
翔くんにも蒼汰にも…。
「ううん。俺は全然足りないよ？遠慮せずもっと甘えて？」
私の頭に頬擦りをしながら言うけど…。
「大好きな彼女に可愛いく甘えられたら男は大抵嬉しいし喜ぶよ。」
「それも翔くんの夢？」
「もちろん。前にも言ったけどAちゃんと見たい景色…叶えたい夢…まだまだいっぱいあるよ？」
翔くんに惹かれたのはそうやって夢を持っていつも前を見てるからなのかもしれない。
後ろばかり気にしてた私にはきっとそんな部分が眩しく見えたんだろうなって思えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
さとち(プロフ) - 最後までしょーちゃんを見届けさせてくれてありがとです(*´∀｀*)ロマンチストなしょーさんにぴったりなプロポーズシーン。きゅんきゅんしちゃいました。ヘタレくんが成長してく様子を見守れて幸せでした(^^) (2019年11月17日 8時) (
レス) id: 71c5d1241d (このIDを非表示/違反報告)
プリ(プロフ) - 完結おめでとうございます。私はヘタレてても優しくて少しずつでも頑張る翔くんが大好き。プロポーズのシーンもとっても素敵だった。素敵なお話しをありがとうございます。これからも楽しみしてます(^-^) (2019年11月10日 12時) (レス) id: cd103d13f3 (このIDを非表示/違反報告)
にのゆう(プロフ) - 完結お疲れさまでした。私はしおななさん大好きです(*´▽｀*) (2019年11月9日 12時) (レス) id: 36f104c3b0 (このIDを非表示/違反報告)
すりおろし梨。(プロフ) - 終わった〜。あんなにヘタレだった翔くんが 花子さんに釣り合うべくカッコよく成長！ てか、まあ、初めから素材は完璧なんだからまあ当たり前か。多少ヘタレがまたかわいい（≧∇≦） こんなかわいいバカップルになれるなんて(//∇//)お互いに好きすぎていいなぁ〜 (2019年11月9日 11時) (レス) id: 285da43cef (このIDを非表示/違反報告)
あゆママ(プロフ) - 完結おめでとうございます！(*´∀｀)ヘタレな翔さんが成長していくのが楽しみでした。終わってしまうと寂しいですねぇ〜。歌は息子が大好きで、ピアノでよく弾いていたので知りました(笑)可愛い曲でこちらも好きになりました。また二宮さんのお話もお待ちしています！ (2019年11月9日 7時) (レス) id: ddbf446660 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：しおなな
| 作成日時：2019年9月20日 15時
