安堵 ページ5
私がそこで話を終えると
ヒラはにこやかに笑ったままこちらを見ている
『…この後は結局、翔に見つかって…今…って感じ…』
「…その時の詳しい話は…無し…？」
『…この約束は”翔と私の約束”をヒラに教える物でしょう？…これ以上、喋る必要はないでしょう？』
苦虫を噛み潰したように…だけど、私は目一杯の笑顔で答えた
弱過ぎる自分を隠す
…無意味な最後の抵抗
ヒラは黙った後、クスッと笑って
「…Aちゃんには敵わないなぁ、大丈夫、もう追及しないよ」
何とも愛おしそうに私に笑って伝えた
さっきまで逃がさないと言う眼差しだった彼の顔が、そんな優しい顔になって私は初めて実感した
あぁ、ヒラは私の事を
本気で好きなんだ…と…
『…どうして』
「当たり前でしょ、大好きなAちゃんに辛い思いして欲しくないし
大丈夫、約束をしてくれたんだったら、俺は何があってもAちゃんを守るよ
誰が相手でも…ね」
そう言うと、ヒラはひらひらと手を振って私を廊下に置いて帰って行った
唐突に始まり、唐突に終わったこの時間が
何だか夢のように思えた
そんな事を思いながら、私は廊下を歩き
帰宅路を進み
自宅でご飯を食べて
浸みる背中に顔を歪めながはお風呂に入り
今日はいつもより早目に眠りついた
あれ…そう言えば…ヒラ…
(何があってもAちゃんを守るよ…誰が相手でも…ね)
守るって…あの話を他に誰にもしないって事…だよね…
そう…だよ…ね……
少しの疑問を胸に、久々の安堵感に
私は深い眠りに落ちた
「…安心してねAちゃん、あの腹黒を叩くまで…君達の約束を守ってあげるから…」
夜に微笑むその顔を…一体誰が見れると言えるのだろうか…
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作者名：モグモグ | 作成日時：2020年9月27日 23時
