ヒーローＶＳ悪魔 ページ16
「…仲直り出来たか？」
その言葉に背筋が凍る
そうだ、どうして気が付かなかったんだ
【俺だったら俺を潰すよ】
そうだ、最初から私が逃げて得をする理由何て
一つしか無いじゃないか
「ヒラくんなら分かるよね？
俺の玩具のヒーローだもんね？」
ニコリと笑う翔は
あの頃と同じように無邪気に笑った
『…めて…
やめて…！！！！約束と違うじゃないか！！！！！』
ヒラを庇うようにして翔へ向き合った
ヒラは驚き、翔は相変わらず笑っている
『私を傷付けるのは構わない！！！
けど
私の周りの人を傷付けるのは止めてって言ったじゃないか！！！！！』
大粒の涙を流して睨み付ける私に
翔は楽しそうに答えた
「…そうだな、約束したな…
だけど、それは本人の了承を得てもかな？」
『…は…？』
翔は喉を鳴らしながらゆっくりと私達の方へと近付いて来た
「ヒラくん？…取引しようか？
君が壊れるまで僕に付き合ってくれたら
その間Aを解放してあげるよ
手も出さないし、誰かに頼みもしない」
翔はそう言いながら私の肩を強く掴み
自分の方へ抱き寄せた
そのまま制服をたくしあげて私の背中を露にした
『っ！やめ…！』
「静かにしろよ…取引中だ…」
『！？…っ…』
見せたくない背中を隠そうと声を上げたが、低いその声に私の体はまた声を出すのを止めた
翔はさっきまで切り付けられ、乾いた血でぐちゃぐちゃになった背中を優しく撫でる
私からはヒラの表情を見る事が出来ない
止めて…こんな惨めな私を見ないで…
他人を助ける事は愚か
自分さえ救う事の出来ない無様に遊ばれる私を…
みないで…
「あーあ…泣いてるのか？本当に隠しきれると思ってたのか？惨めで可愛い俺のA
この取引が成立しても、どの道お前はヒラくんみたいに誰かに距離を詰められて約束もこの姿も
全て晒すことになるってのに…
そろそろ、自分の事も”気がつかないフリ”止めな？」
あぁ…止めて…
気がつかないフリが他人だけじゃなくて
自分もだと言う事を私に教えないで…
逃げられないこの運命から目を背けて居ないと…
本当に…私は…
「…いいよ…その条件
呑んでやるよ」
『…えっ』
「…はっ…流石ヒーロー？カッコイイね？良いの？他の奴にも俺らの約束がバレてAに取り繕えなくなるよ？」
喉を鳴らす翔
それを嘲笑うかの様に少し高めの笑い声が教室に響く
ヒラ…？
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作者名：モグモグ | 作成日時：2020年9月27日 23時
